朝鮮日報オンラインが24日伝えたところによると、中東の反政府デモが中国にも影響を与える中、中朝国境の北朝鮮側にある平安北道新義州市で今月18日ごろ、数百人の住民と当局が衝突する事態が発生していたことが、23日までに分かった。金正日総書記はこうしたデモの拡大を防ぐため、鎮圧に当たる特殊機動隊を組織するよう指示を下したという。
また、同オンラインが23日に伝えたところでは、今月14日にも平安北道で抗議行動が起きた。2日後の16日の金正日総書記の誕生日に備えて平壌市内をライトアップするため、当局が平安北道への電力供給を止めたことに対し、住民が「もう生きていけない。明かりとコメをよこせ」などと叫び始め、各地で数十人規模に拡大したという。
韓国の玄仁沢(ヒョン・インテク)統一部長官は23日、マスコミに対し「北朝鮮当局は中東の民主化ブームが体制に悪影響を与えないよう努力しているはずだ。北ではインターネットを思い通りには使えず、メディアも報道しないため、一般人は(中東のデモを)知ることができない状態だろう。当面は北への影響は微々たるものではないか」と述べたという。一方、ある消息筋は「北の住民たちは、どこで耳にしたのか、エジプトやリビアのデモの情報をやりとりしている」と語った。
チュニジアやエジプトのデモでは「自由」や「雇用」を求める声が大きかったが、北朝鮮の人々は「明かりとコメ」を求めている。つまり、政治や経済の不満以前に、生きていけるかどうかの生存権の問題なわけで、悲惨さのレベルが違う。日本から遠い中東の情勢も目が離せないが、地上最悪の独裁政権は私たちのすぐそばにある。(司)