ユネスコ本部庁舎。
《本記事のポイント》
- ユネスコが2つの「慰安婦」資料の登録を見送る方向
- 見送りに影響を与えた決議の趣旨は、幸福実現党が主張していた
- 日本の保守団体の申請によって、ユネスコは「痛み分け」を判断した
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際諮問委員会は、日中韓などの団体が「世界の記憶」に申請した「慰安婦」資料2点の登録を見送る公算が高まっている。
見送られる可能性があるのは、中韓など8カ国が共同申請した、慰安婦を性奴隷とする「慰安婦の声」と、その主張を真っ向から否定する日本の保守団体が申請した「慰安婦と日本軍軍律に関する記録」の2点だ。
ユネスコの執行委員会が18日、意見が異なる当事者間での話し合いを促し、「政治的な緊張を回避するよう求める」との決議を採択。登録見送りは、この決議を反映するもので、日本政府も「日韓合意の趣旨に反する」と登録反対を表明していた。
最終的な判断は今月30日、31日に公表される見通しだ。
幸福実現党の主張と、ユネスコの決議
中韓などが申請した「慰安婦は性奴隷」という虚偽の主張に基づいた資料が見送りになることは歓迎すべきだが、ここで注目したいのは、その判断に影響を与えた「決議」だ。
実は、決議内容と同様の趣旨を求めていたのが、幸福実現党だった。同党は2015年12月に、具体的な改革案をユネスコに提出しているが、その該当文章は次のものだ。
「登録申請後、公開した資料に対して、関係国や地域から反証があった場合、当事者間で議論し、両者の合意した結論が出るまでは、該当する資料の登録を見送ること」
当事者間の話し合い、該当資料の登録見送りは、いずれも今回の判断と酷似している。ユネスコに何らかの影響を与えた可能性があるわけだ。
このほか幸福実現党は、中国が2014年6月に「南京大虐殺」・「慰安婦」資料を提出したことを受け、同年7月、1700人規模の登録反対デモを東京都内で実施。これを皮切りに、中国の申請資料に対する反論文を計4回、ユネスコに提出した。提出に際しては、評論家の故・渡部昇一氏をはじめ、延べ100人を超える有識者の賛同を得た(下表)。
日本の民間外交の「勝利」
今回、登録が見送りになった背景には、日本の保守団体「慰安婦の真実国民運動」「なでしこアクション」などによる、慰安婦の真実を示す資料の登録申請があったことも大きい。
残念ながら、この日本側の登録も見送られる可能性が浮上しているが、ユネスコは、意見が対立する2つの「慰安婦」資料の内容を精査せざるを得なくなり、双方の登録を見送ることで「痛み分け」の判断を下した形と見られる。その点、日本の民間外交による勝利と言っていいだろう。
日本政府はユネスコへの対応という意味では、後手に回っていたが、幸福実現党と保守団体の活躍によって、「慰安婦」資料の登録を阻止することができた。その功績については、公平に評価されるべきであろう。(山本慧)
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