《本記事のポイント》
- 来年から、NISA口座にマイナンバーが紐付けられる。
- 日本は、マイナンバー先進国である中国に近づきつつある。
- マイナンバー制度が広まれば、追加徴税や情報流出の恐れもある。
マイナンバーの適用範囲が、あらゆる範囲に広がりつつある。
例えば、NISA(少額投資非課税制度)。NISAとは、株式や投資信託を運用し、その収益が非課税になる制度のこと。上手く利用すれば"お得"な制度だが、NISA口座の保有者は、2018年以降、マイナンバーの提出が義務付けられている。今年中に金融機関にマイナンバーを提出しなければ、2018年以降は取引ができなくなるのだ。
これはマイナンバーに、投資で儲けた資産が紐付けられることを意味する。また2018年からは、任意ではあるが、銀行口座の保有者もマイナンバーの提出を求められる。
"日本の中国化"が進んでいる恐ろしさ
これは、日本が中国に近づきつつあることを示している。中国は、1985年からマイナンバー制度が始まっている"先進国"だ。
現在、中国の都市部を中心に、自転車シェアリングやコンビニ、外食、タクシー、はたまた屋台や公衆トイレ、街角の募金など、いたるところでスマホ決済が浸透しているが、その背景にあるのがマイナンバーだ。中国では、マイナンバーに銀行口座や携帯電話番号など、あらゆる情報が紐付けされており、飛行機や高速鉄道などのチケットの購入時や、スマホ決済の登録の際にも、マイナンバーの提出が求められる。
中国は"監視大国"であり、さまざまな自由が制限されているのはご存知の通り。そんな中国に、日本が近づいている現状は、極めて危険といえるだろう。
日本政府や中国政府がマイナンバーの適用範囲を広める真の目的は、「お金の流れや資産を把握すること」にある。銀行口座などに紐付けして資産の実態が分かれば、税務署は「恣意的な追加徴税」を行いやすくなるからだ。
そうした恣意的な追加徴税は、大企業や富裕層のみならず、全ての国民に対して「一種の懲罰」としても使える。また監視の目が国民全体に広がるということは、日本が中国のような全体主義国家に近づくということを意味する。
マイナンバー制度によって、日本でも「自由の侵害」や「財産権の侵害」の恐れが出てくるということだ。
国家秘密が流出する可能性も
加えて、マイナンバーの適用範囲が広がることは、安全保障上も問題がある。例えば、北朝鮮や中国などが、サイバー攻撃でマイナンバーに紐付けられた日本人のすべての個人情報を盗み、その情報から本人を脅し、国家の機密情報を盗んでしまう可能性もある。
情報セキュリティに詳しい会津大学の山崎文明特任教授は、本誌の取材に対し、こう語っている。
「中国は今、日本の知的財産を狙っています。防衛企業のミサイル誘導技術についての情報を得ようと、その会社の人事データを手に入れれば、誰に接近すべきか簡単に分かります。そこにマイナンバーの情報が付随していれば大変です。今後、民間利用が進んで、例えば店舗のポイントカードとマイナンバーが紐付けされれば、生活圏や趣味、嗜好なども分かってしまいます。これまでコストも時間もかかっていた諜報活動が、手軽にできるようになってしまうのです」(本誌2016年1月号記事)
日本が監視社会に近づいている現実に、もっと目を向ける必要がある。そしてこれ以上、マイナンバーの適用範囲を広めないよう、国民一人一人が声を上げていくことが重要だ。
(山本泉)
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