《本記事のポイント》
- 選挙戦は政策論争ではなく、「スキャンダル合戦」に。
- 自民、民進の"二人負け"だが、小池人気も長続きしない。
- マスコミが"当選者を決める"のは民主主義の否定。
各政党が国政選挙並みに力を入れた東京都議選の蓋を開けると、あっけない結果となった。
2日に都議選(定数127)の投開票が行われ、小池百合子・東京都知事が率いた地域政党「都民ファーストの会」が、49議席を獲得し、第1党へ大きく躍進した。
同党が推薦した候補者と、連携する公明党の議席を合わせた「小池知事の支持勢力」は、過半数を超える79議席で圧勝。自民党は、改選前の57議席から、23議席まで大きく減らす歴史的な大敗となった。
政策論争ではなく、「スキャンダル合戦」に
都議選はさながら「スキャンダル合戦」の様相を呈した。
加計学園問題をはじめ、稲田朋美防衛相の失言や豊田真由子衆院議員の暴言問題などで、安倍政権の支持率は急落。自民党への逆風が強まる中で、都議選が行われた。
敗因について安倍晋三首相が、「安倍政権に緩みがあるのではないかという厳しい批判があったのだろうと思う」と語ったように、安倍1強のおごりに対し、都民がノーを突き付けた格好だ。
本来、争点だったはずの豊洲市場問題も、小池知事が突然、築地市場との併用案を打ち出し、"争点隠し"を演じた。結局、スキャンダルに注目が集まる一方で、都政の課題は後回しにされた。
さらに都議選では、最大野党の民進党の凋落も際立った。
同党は、改選前の7議席から5議席まで議席を減らした。前回の選挙で獲得した15議席と比べると、復活の兆しは見えず、自民党に対抗する受け皿になり得なかった。民進党からは、離党者も相次いでおり、存在感はますます後退している。
都議選は、自民党と民進党の"二人負け"と言えよう。
小池知事の人気は続かない
ただ、都民ファーストの会の人気が、今後も続くとは限らない。
同じく、地域政党から出発した日本維新の会(前身は大阪維新の会)も、結党当初の注目度を超える活動には至っていない。都議選では、わずか1議席の確保にとどまり、全国に根付いた組織力を有していない。国政への勢力拡大を視野に入れる都民ファーストの会も、今後、同じ課題に直面するはずだ。
マスコミが"当選者を決める"という民主主義の否定
6月23日の主要ニュース番組における報道時間の合計(ザ・リバティ編集部作成)。
一方で都議選では、マスコミの偏向報道の実態も露わになった。
大手マスコミは、都民ファーストの会と自民党の両党だけで、報道時間の約半分を割き、国民に「事実上の一騎打ち」との印象を広めた。その報道量が、選挙結果に直結しているのは明らかであり、国民の知る権利に奉仕しているとは言い難い。
特に、都民ファーストの会は、国会議員を抱えていない地域政党。同じ条件の幸福実現党は、なぜか、ほとんど報道されなかった。同党は、日本維新の会を上回る6人を擁立させ、豊洲市場の民営化という他党にはない独自の政策を掲げていたにもかかわらずだ。
都議選は、政策論争ではなく、スキャンダル合戦で勝敗を決し、マスコミの偏向報道も浮き彫りになるという何とも後味の悪い結果となった。小池知事の真価は、敵対勢力と見定めた都議会自民党を倒した今から問われ始める。
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2017年7月1日付本欄 【都議選】幸福実現党、豊洲問題への"別解"を提示 「豊洲も築地も民営化すべき」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13208
2017年6月29日付本欄 都議選報道 議員5人の「都民ファースト」は30%、62人の「その他」は6%
http://the-liberty.com/article.php?item_id=13201
2016年7月24日付本欄 【都知事選】"主要3候補"以外の報道時間は3% 非"主要"候補者が共同記者会見