《本記事のポイント》

  • 世界地図の「日本海」の表記に、韓国側の呼称「東海」の併記が増えてきている
  • 歴史的にみると、韓国側の主張は説得力に欠ける
  • 表記の問題が領海問題につながる可能性もある

海外の世界地図で、「日本海」の呼称について、韓国側の呼称である「東海」が併記されるケースが増えてきている。このほど、産経新聞が報じた。

韓国は1992年ごろから、日本海地域の表記を、「日本海」から「東海」に変えるか、「東海」という表記を併記するよう、主張。韓国政府が支援している民間団体も、海外のメディアや地図製作会社などに交渉してきた。

その結果、2000年に日本の外務省が報告した、「主要60カ国で使用される地図のうち、97%以上が『日本海』を単独表記している」という状態から、「東海」の併記が約28%に達したという(2009年韓国側の調査)。

「日本海」という呼称は、国連やアメリカ、イギリス、中国、フランスなどの政府では公式名称として扱われているが、国際法に準拠しないところでは、見方が変わりつつある。

例えば、アメリカの大手通信社AP通信は、両国の視点を反映させて「東海」と「日本海」を併記するとしており、ロイター通信に至っては、「東海」を単独表記し、日本海と表記された説明文のついた写真を、ウェブサイト上の過去記事から削除したとしている。

「日本海」表記を広めたのも、定めたのも、日本ではない

韓国は、歴史的背景として、「東海」という呼称を2000年以上にわたって使用しており、国際水路機関(IHO)が名称を決定した1929年には、「東海」という呼称を主張する機会がなかったと主張する。

また、反日活動を展開する韓国の民間団体「VANK」は、「韓国人にとって日本海を東海に変えることは、日本帝国主義の残滓を清算することであり、韓民族のアイデンティティを回復することだ」などとして、「日本海」という表記が、日本の独断によって決められたものだと強調する。

しかし、事実は違う。韓国は2000年間、「東海」という呼称を使っていたというが、それは韓国国内に限定された話。それに対して「日本海」という表記は、国際的名称として使われてきた。

歴史的に見ると、最初に「日本海」という表記がされたのは、17世紀初め、イタリアの宣教師、マテオ・リッチによって作成された『坤輿万国全図』(1602年)だとされる。その後、欧米の地図では、「朝鮮海」「東洋海」「中国海」などの名称が用いられるが、19世紀初頭(日本は江戸時代であり、鎖国の真っ最中)には、「日本海」という呼称が圧倒的に使われていたことが、欧米各国の古地図調査などによって確認されている。

つまり、「日本の主張で『日本海』という名称になった」ということでもなければ、「日本の植民地主義によって、『日本海』という名称が広まった」という事実もない。

「東海」という名称を広げる危険性

もし、「東海」という名称が、韓国側の間違った歴史認識に基づいて世界に広まった場合、起こりかねないのが、新たな問題だ。中国の「九段線」よろしく、「2000年前から『東海』は、韓国の海だった」と主張される日が来ないとは限らない。

特に、現在の韓国大統領、文在寅(ムン・ジェイン)氏には、潜在意識下において、朝鮮半島を統一した後、日本を占領する野心があることを、本欄7月号でも指摘した。

慰安婦問題に続き、間違った認識を広めようとする韓国に対し、日本は正しい歴史認識を広めるべく、努力せねばならない。(中)

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