アメリカのニューヨーク州上院はこのほど、「日本海」とともに、韓国が主張する「東海」を教科書に併記する義務化法案を可決した。4月にも、バージニア州も同様の法案が成立するなど、日本海呼称問題がアメリカで広がっている。9日付産経新聞が報じた。

ニューヨーク州上院での法案を支持したトニー・アヴェラ民主党議員は、「韓国と中国は2000年以上にわたり、『東海』と言ってきた」「私は(日系アメリカ人ではなく)韓国系アメリカ人の側に立った」と語るなど、韓国系アメリカ人が多い自選挙区にアピールをしたという。

トニー氏は、日本海の呼称のみならず、従軍慰安婦問題でも韓国の肩を持つ議員だ。従軍慰安婦問題に関して、本誌6月号には、トニー氏のインタビュー記事を掲載している。その中で、トニー氏は、「(慰安婦が売春婦に過ぎなかったという米軍の)資料は見ていない」「慰安婦とスカイプや直接での会話を通じて、彼女らの体験を信じ、『性奴隷』が事実であると納得した」などと、元慰安婦と称する韓国人女性の証言のみに依拠していることを臆面もなく語った。

今回の法案も、トニー氏は、韓国側の主張を鵜呑みにしているのだろう。賛成票を投じた他の議員たちも、客観的な証拠を持っているとは思えない。日本海は世界で唯一の国際的に認められた名称であって、アメリカ政府や国連も、日本海の呼称を支持している。日本の外務省も、ホームページ上で、この問題に対して次のような事実で反ばくしている。

「2000年も前から東海を使用している」と主張する韓国が、公式の場で日本に異議を唱えたのは、1992年から。その理由は、日本の植民地支配によって日本海の呼称が広がったというもの。しかし、日本海の呼称が国際社会で広く使われたのは、19世紀初頭であり、日韓併合の1910年よりも前から、日本海の名称が定着していた。さらに、韓国の古地図には、「朝鮮海」「東洋海」などの様々な名称があるが、これらを「東海」にひとくくりにすることで、東海が歴史的に受け入れられてきたという証拠づくりをしている。

このような虚構の歴史問題で日韓は対立しているが、この対立にアメリカは、「日韓は過去にこだわるべきではない」と、仲裁役であるかのような動きをとっている。だが、オバマ大統領は、自身が所属する民主党の地方議員たちが、日本海の呼称や従軍慰安婦問題で、一方的に韓国側が主張する「過去」に傾倒してしまっていることには、無関心であるようだ。もし、日本が今回のような法案に強い反対姿勢で臨めば、アメリカは、安倍晋三首相の靖国参拝に対して「失望」を表明したように、再び苦言を呈してきたに違いない。

アメリカでは、韓国のコミュニティー団体が、地方自治体を狙った活動を展開し、じわじわと韓国の嘘を浸透させている。日本は、政府を相手取った言論戦を強化することは言うまでもないが、地方の動きにも牽制していかなければならない。(慧)

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