2017年6月号記事
追悼
誇りがなければ日本を守れない
渡部昇一氏、他界21時間後のメッセージ
保守言論界の重鎮が、この世を去った。
専門の英語学のみならず、多岐に渡る分野で言論活動を行ってきた渡部昇一氏が、4月17日、86歳で亡くなった。死後約21時間後、大川隆法・幸福の科学総裁は、同氏の霊に、この世に遺すメッセージを聞いた。
渡部氏が戦後日本で果たした役割はとてつもなく大きい。
日本独立後も、言論界は、占領軍が押し付けた「日本は悪い国」という自虐史観が主流だった。米ソ冷戦時代には、「共産主義は素晴らしい」とする左翼言論が幅を利かせていた。
いまでこそ、日本は素晴らしい国であり、国家は守るべきものだと訴える保守言論人は大勢いるが、当時は少数派。そんな中、たった一人でも、自虐史観や左翼言論に立ち向かったのが渡部氏だ。
たとえば、朝日新聞との戦い。誰もがおかしいと思いながら、権威ある大新聞社に対して声を上げられない中、「なぜ文化大革命を擁護するのか」と批判。同紙が「南京大虐殺」を広めたときも、独自の視点から反論した。
また、田中角栄裁判で、有罪が当然だという世論が加熱する中、「反対尋問もさせない裁判は、憲法に違反している」と批判。民主主義の精神を守るべく戦った。
霊言では、田中角栄裁判に隠されたもう一つの戦いや、天皇陛下の生前退位など、話題は多岐にわたった。特に強調したのは、日本存続の危機だ。
「 明治以降の近代化もやったし、今回の敗戦も経験したけど、国はまだなくなっていない 」「 神様によって創られた民族という意識がある限りはなくならない 」
このように述べ、民族を束ねる信仰や歴史への誇りがなければ国は守れないと訴えた。霊となっても、日本の誇りを大切にする論客であり続けている。