「トランプ氏は大統領に就任後、米国も加盟国の1つとしてWTO規則を守る義務があるということを再認識する必要がある」――。

中国商務省の張向晨・部長助理がこのほど、トランプ次期米大統領が「中国製品に高い関税を課す」と発言していることについて、こうけん制した。

張氏は、アメリカが関税をかければ、WTOに提訴すると発言。トランプ氏が「中国を為替相場に不当介入する『為替操作国』に認定する」と発言していることについても、いら立ちを示すコメントをした。

米貿易赤字の約半分が中国

中国がこれほど神経をとがらせる背景には、もし関税が上がれば、ボロ儲けとも言える対米貿易収支に深刻な悪影響が出るためだ。アメリカの貿易赤字のうち、5割近くを中国との取引が占めている。これに対しトランプ氏は、「米国強姦」という強い表現を使ってまで不満を示してきた。

かつての日本も、巨額の対米貿易の黒字を生み、アメリカの恨みを買った(貿易黒字は、1991年の最大で58%)。いわゆる「貿易摩擦の時代」が、今の米中関係にも当てはまると言えよう。

財務省がトランプに続いた!?

トランプ氏の通商政策に合わせるかのように、日本の財務省は24日、発展途上国への輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国の見直しを発表した。この結果、中国など5カ国が関税の減免対象から外れることになる。

財務省もいよいよ、「中国包囲網」に乗り出したか……と思いきや、減税対象から外れるのは、冷凍タコやペットボトルの原料など約3千品目に過ぎない。すでに、欧州連合(EU)などが、同様の制度の対象から、中国を除外していることも考えると、財務省の動きはインパクトに欠ける。

日本も莫大な対中貿易赤字……

対中貿易収支を見れば明らかだが、日本は恒常的な赤字を抱えている(下表)。近年、日本の労働力は中国に奪われ続け、国内総生産(GDP)も伸びなかった。中国を独り勝ちにさせてきた面は否めない。

対中貿易赤字額と日本の名目GDPの推移。対中貿易の赤字が続いていることが分かる。

中国の名目GDPは、WTOに加盟した2001年以降、急上昇している。

トランプ氏は、「アメリカは中国を儲けさせ過ぎた」という思いを持っており、公平な競争関係に戻そうとしている。日本も、中国との貿易ではマイナス面を多く抱えており、これを改善する時が来ている。

(山本慧)

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