北朝鮮側の提案を受け、事務レベルでの南北軍事対話が2月上旬にも再開される見通しだが、米ハドソン研究所のリチャード・ウェイツ氏が外交専門オンライン・メディア「ザ・ディプロマット」の中で、今回の北朝鮮の態度の軟化の背景には、米韓の関係強化が中国へのメッセージとなったことがあると分析している。

北朝鮮側からの韓国に対する提案は、胡錦濤主席の訪米直後にあったもよう。ウェイツ氏によれば、北の後援者である中国はこれまで無条件での六カ国協議の再開を提案してきたが、南北での対話再開を優先させる韓国側の意向を汲むことにしたようである。昨年の北朝鮮による韓国砲撃に対し、アメリカは韓国と合同で黄海での大規模な軍事演習を行なった他、韓国の軍備強化を後押しするなど同盟関係強化に動いている。加えて、胡主席の訪米中にアメリカが更に極東兵力を増強する用意があるという態度を示したことで、北朝鮮が過度に強硬姿勢を強めれば中国自身の安全保障が脅かされる可能性があることを、中国が理解したようだと、同氏は論じている。

ウェイツ氏の分析が正しいとするなら、北朝鮮や中国の挑発に対しては、毅然たる対応が重要であるとの教訓が導かれる。北朝鮮の核戦力がアメリカ本土を脅かしかねないという危険性が最近では指摘され、「カリフォルニアを危険にさらしてまでアメリカは韓国や日本を守るか」という議論の中で、今後とも北朝鮮や中国がアメリカの姿勢を試してくることは十分予想される。安易に不必要な譲歩をすることなく、相手に正しいメッセージを送るような対応を続けるべきであろう。

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