米ワシントンポスト紙がこのほど、ショッキングな記事を掲載した。北朝鮮から逃れようとする女性たちが、中国に人身売買された後、貧困のため、インターネットを介した「風俗業」で、わずかなお金を稼いでいるというものだ。

同紙の報じた内容は、以下の通り。

  • 数多くの北朝鮮女性が、中国北部の農村へ「妻」として売られている。北朝鮮での劣悪な環境から抜け出すために自ら売られることを望む女性もいるが、その多くが密売人に「中国で職を得られる」とだまされ、人身売買されている。

  • 米国務省による「2016年の人身売買に関する調査」によれば、北朝鮮の女性や少女は、中国人男性、もしくは、韓国系中国人男性によって性奴隷にされる傾向があるという。売春宿やオンラインの風俗サイトを通じて売春を強要されたり、ナイトクラブやカラオケバーでホステスをさせられたりしている。

  • 「中国に住む北朝鮮人女性の約5分の1が、この手の風俗業に身をやつしている」と言われている。これは、中国当局に見つかれば北朝鮮へ強制送還されるおそれがあるため、人目につかないインターネット上の風俗業の方が安全で割が良いという理由からだ。

北朝鮮という「地獄」から逃れて中国へ渡ったものの、そこには別の「地獄」が待ち受けており、安らぎは得られない。中国での悲惨な生活から逃れるべく、韓国やベトナム、タイへと渡る女性も後を絶たないという。

「平和」を叫びつつ、人々の苦しみから目をそらしてはならない

北朝鮮と中国。両国の共通点は「共産主義国」であるという点だ。共産主義では神の存在を否定するため、人権の本当の意味が分からない。神仏やあの世が存在しないことが前提なので、「人間は死んだら終わり」と考える。

しかし、それを突き詰めると、「壊れたら終わり」というロボットとの違いはなくなってしまう。人間を機械と同じものと考えれば、人間の尊厳というものは存在せず、人権を無視しても何の痛痒も感じないだろう。神仏の存在を認めない唯物論の思想を変えない限り、この地上に存在する「地獄」をなくすことはできない。

「一国平和主義」の日本は、ともすれば世界で起きているさまざまな人権問題に無関心になりがちだ。

しかし、日本は大国である。本当の「平和」を求めるのであれば、世界で起こっている出来事を直視し、問題を解決する役割が期待されている。「平和」を叫びつつ、世界の人々の苦しみから目をそらしていては、真の平和は訪れない。(片)

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