米ニューヨークで新たに発効した法律によって、英語ができないタクシー運転手も同市で運転できるようになった。タクシー運転手になるための資格試験から英語の試験を省くことで、移民も仕事に就きやすくなるという。

23日付ニューヨーク・タイムス紙が報じたこのニュース。これまでニューヨーク市議会では、タクシー運転手として働くために英語が不可欠とされていることが、運転手として働きたい移民にとって「障壁」になっていることが議論されてきた。

英語が話せないドライバーで客は満足できるのだろうか。記事では、「ドライバーは客とコミュニケーションをとらないといけない」という声とともに、「私はタクシードライバーとほとんど会話をしない。目的地に安全に届けてくれれば、別に言葉は気にしない」という声も紹介されている。

ニューヨークでは、このような「規制緩和」が行われたが、イギリスのロンドンでは逆に、移民のタクシー運転手に求める英語レベルが厳しくなっている。イギリスでは、これまでに受け入れた移民労働者とイギリス人との間で対立や衝突があり、新たな移民を規制しているのだ。

移民が感じる日本語の壁

こうした「移民先進国」の国際都市から、日本が学べることは何だろうか。

日本でも、急速に進む少子高齢化を背景に、移民が政策テーマとして浮上してきている。しかし日本の場合は、「単一民族の村社会」をつくってきた伝統もあり、外国人の就労についてはまだまだ閉鎖的だ。

まず、外国人にとって日本語の習得は非常に難しい。しかも、日本語を話せない移民は、仕事に就きづらいという現実がある。

たとえば日本は看護師不足のため、インドネシアなど東南アジア諸国から看護師を受け入れている。しかし彼らは、「日本語の、しかも漢字かな交じり文の試験を受けなければいけない」「試験に合格しなければ本国に帰らなければいけない」という厳しい状況にある。日本で働くのは、限りなく狭き門と言わざるを得ない。

日本に合った移民政策を

そうかといって、もちろん、無制限に移民を受け入れればいいというわけではない。

例えば中国から大量の移民が押し寄せれば、日本人の仕事が奪われ、日本人と移民が衝突する可能性もある。また、文化的・政治的にも大混乱が生じかねない。移民を受け入れるにも、一国からの移民の数に上限数を決め、特定の国に偏らないように制限することも必要だろう。また、不法入国には毅然とした対応を取るなど、日本の治安を守る必要もある。

そうした条件を整えたうえで、移民受け入れに関して規制を緩和できるところは緩和し、優秀な外国人を「新しい日本人」として教育する土壌づくりが必要だ。親日的なアジア諸国に、日本で働くことを想定した学校をつくり、卒業生の受け入れを進めるなど、日本に溶け込めるように育てることも大切だ。

日本の風土に合った移民政策のあり方を模索したい。

(小林真由美)

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