画像はニコニコ動画より

東京都知事選は31日、投開票を迎え、小池百合子氏が当選した。初の女性都知事の誕生となる。

小池氏は、早くから立候補を表明し、終始優位に選挙戦を進めた。また、「保育所の規制を見直して待機児童をゼロに」「2階建て車両で満員電車をゼロに」など、具体的な政策を訴えていた。

自民党から推薦を得られず、「孤立無援」を演出していたが、実際には自民党を離党していたわけではなく、自民党議員の支援も受けていた。しがらみにとらわれず、掲げた公約を実現できるのか。今後の手腕に期待したい。

マスコミのあり方に疑問を投げかけた七海氏

今回の都知事選で興味深かった点は、従来からのマスコミ報道のあり方に批判の声が高まったことだ。

今回は、過去最多の21人が立候補したが、マスコミは勝手に"主要"候補を3人に絞り、ほかの18人の候補者の存在を黙殺した。

こうしたメディアの状況に問題意識を持つ公益社団法人「自由報道協会」は、選挙戦も終盤に差し掛かろうとする23日、都内で「2016東京都知事選挙共同記者会見」を開催。21人の候補者のうち、8人が参加した。

この記者会見に参加した幸福実現党公認の七海ひろこ候補は、7月18日から22日の間、主要なニュース番組が、97%~98%の放送時間を鳥越俊太郎氏、増田寛也氏、小池百合子氏の"主要3候補"に充て、その他18人の候補者については、名前の一覧を出すにとどまっていることを指摘。会場を沸かせた。

これを受け、候補者有志6人が、民放のテレビ4局と放送倫理・番組向上機構(BPO)に、報道姿勢を改めるよう求める連名の要求書・請求書を送った。

その翌日、テレビ朝日の「報道ステーション」は、それまで黙殺していた18人の候補者の主張をすべて紹介し、「主要」3候補は名前だけを紹介した。さらに、テレビ朝日の「ワイド・スクランブル」やフジテレビの「めざましテレビ」などでも、全候補者を紹介する動きが見られた。

21人の候補者の主張は多種多様であり、さまざまな選択肢を提示されることで、有権者にも「選ぶ責任」が生まれる。

政策に注目が集まり始めた

実際、"主要"とされた候補者たちの政策よりも、他の候補者の政策は斬新で興味深いものだった。

"主要"とされた候補の一人で、自民党や公明党などの推薦を受けた増田氏は、「東京一極集中」を批判していた人物だが、これはすなわち東京の力を落とすということ。東京都民の心が離れるのは当然といえる。

野党の推薦を受けた鳥越氏は、憲法改正を止めるという左翼の主張を代弁するだけで、都政をどうするかという点はほとんど何も聞かれなかった。

こうした中、幸福実現党の七海ひろこ氏の政策は、「容積率の緩和などで居住コストを下げる」「減税によってビジネスをしやすくし、世界一の都市を目指す」「24時間ときめくことのできる都市にする」など、東京の発展ビジョンが示され、夢と希望を感じさせるものだった。

ホリエモンこと堀江貴文氏も、ネットの記事で「ジャーナリストの上杉隆さんや、幸福実現党の七海ひろこさんのように、まともなことを言っている人もいる」として、七海氏の政策に注目していた。

実際、七海氏は今回の都知事選候補者の中で最年少ながら、28,809票を集めた。

すべての候補者の主張がフェアに報道され、組織力や知名度ではなく、政策の中身や候補の人物、本気度で判定がなされるようになれば、選挙はもっと面白いものになり、投票率も上がるだろう。

今回の都知事選では、マスコミの「黙殺権」「報道しない自由」に小さな風穴が開いた。その点で、歴史的なものといえるかもしれない。

これを機に、今後のマスコミ報道が変わることを期待すると共に、有権者も自ら考え、判断して候補者を選ぶ責任を自覚したいものだ。

(小川佳世子)

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