"非主要候補"の記事は、画像右端の黄色の枠で囲ったもののみ。そのサイズは、小型の消しゴムと張り合えるほど小さかった。

東京都知事選の投票日まで残り1週間を切り、立候補者の戦いがし烈さを増している。だがその一方で、新聞報道のあり方に疑念が生じている――。

"非主要候補"の報道は1紙のみ

上画像は、大手新聞の六大紙(読売、朝日、毎日、日経、産経、東京)が、都知事選を報じた記事(25日付)を切り抜いたものだ。

その中身を見ると、六大紙の候補者報道のうち99%の面積が、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏、小池百合子氏の、いわゆる主要候補の紹介に割かれている。一方、その他18候補の紹介に割かれていた紙面は、1%だけだった。それも、山口敏夫氏と、上杉隆氏、七海ひろこ氏、中川暢三氏の4氏しか取り上げられていない。

しかも、4氏を報じたのは、読売新聞1紙のみで、他の5紙には該当記事は見当たらなかった。とはいえ、読売新聞の紙幅も、同紙で有名な四コマ漫画「コボちゃん」以下の扱いぶり。"非主要候補"を支持する有権者の声が、ほとんど誌面に反映されていないことが分かる。

新聞の曖昧すぎる報道基準

記事を切り抜いていくにつれ、新聞を愛する一読者として、「なぜそのような報じ方をするのか」と無性に気になった。そこで、各紙の読者センターにその意図を聞いた。

応対した朝日新聞担当者は、「報じるか否かは、社会の重要性をもとに判断している」と回答。「その重要性の基準は何か。教えてください」と食い下がると、「基準は…」と言葉を濁した。その後の返答も、編集部の方針で誌面が割かれていることを繰り返すのみだった。

読売新聞も、朝日新聞と同様の回答をしたために、同じくその重度性の基準を質すと、「他の候補を取り上げない理由(基準)はありません」と驚きの回答。「ないのですか?」と切り返すと、「ないです」とした。

マスコミが作り出す「情報統制」

本欄ではすでに、テレビの偏向報道の問題にも言及している。主要なニュース番組が、"非主要候補"を報じた時間は、たったの3%程度であり、憲法で保障された「表現の自由」を乱用している点を指摘した( http://the-liberty.com/article.php?item_id=11703 )。

マスコミは、「国民の知る権利に応える」という名のもとに、社会的公器としての役割が期待されている。だがその実態を見れば、編集部の方針という、かなり恣意的な報道が行われていることが分かる。

もちろん、社の編集権は守られるべきだが、民主主義の一翼を担う公器であるならば、フェアな報道があってしかるべきだ。

このまま"非主要候補者"の声が抹殺され続けるのなら、日本にも、中国や北朝鮮のような「情報統制社会」が近づいていると言わざるを得ない。報道がなければ、有権者は、他の立候補者がいることを知らずに投票してしまうためだ。

国民は、マスコミが報じない問題に、もっと目を向けるべきではないか。

(山本慧)

【関連記事】

2016年7月24日付本欄 【都知事選】"主要3候補"以外の報道時間は3% 非"主要"候補者が共同記者会見

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2016年7月22日付本欄 【都知事選】"主要3候補"って誰が決めたの? その姿は「国営マスコミ」

http://the-liberty.com/article.php?item_id=11697