第一生命保険グループのネオファースト生命保険がこのほど、健康状態によって値段が変わる医療保険制度を、年内にも導入すると発表した(17日付日本経済新聞)。

この制度では、健康診断の結果から算出される「健康年齢」が実年齢よりも10歳若いと判定されると、保険料が2~4割安くなる。逆に、健康年齢が実年齢よりも高い場合は、保険料が高くなる可能性もあるという。

このような保険料減額制度は、今年の6月にノーリツ鋼機が国内で初めて採用し、珍しい医療制度として注目された。

日頃の生活習慣の改善によって保険料が安くなる制度なら、加入者は健康な生活を心がける意欲も湧きやすいだろう。

"安い"医療費が国を潰す!?

これは民間の医療保険の話だが、同じような考え方を、公的医療保険制度にも生かすことができないだろうか。

医療費の拡大は、日本の大きな問題だ。特に公的医療保険においては、保険料で加入者の医療費をまかないきれず、その約4割を税金から補てん。日本の財政を圧迫している。

医療費増大の背景には、高齢化などやむを得ない事情もあるが、不養生による生活習慣病の増加や、風邪などの軽症でも、大病院にかかる人の存在なども大きい。

多くの病気の場合、医療費の3割を負担すればいいため、国民の意識として「医療が安くて手軽なものだ」という意識が根付いているのだ。

もちろん、大きな怪我や病気をしても治療費が払えない人が、医療保険で救済される制度は必要だ。しかし、過度の保護は、逆に国民の健康意識を低下させることにもなる。

財政改善には「増税」よりも「健康」を

健康意識を喚起する制度設計が必要だ。

ネオファースト生命保険の新しい制度のように、生活習慣で改善できる指標に応じて、保険料を上下させる仕組みも検討の余地がある。

また、生活習慣を正すことで予防できる病気や一時的な疾患については、保険の適用を限定することも考えられるだろう。

国会では得てして、「増税によって、社会保障を維持する」ことばかりが議論される。しかし、「国民を健康にする制度」を議論することも、必要なのではないだろうか(志)

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