北京で行われた「米中戦略経済対話」がこのほど閉幕した。中国が海洋進出を進める南シナ海の問題に関して、両者の主張の溝は埋まらなかった。

米国のケリー国務長官は、国際的な仲裁裁判を念頭に置き、「法と外交、交渉による解決」を求めた。

それに対し、中国の楊潔※チ国務委員は「当事国間での協議を通じた解決を目指す」と主張(※「チ」は竹かんむりに褫のつくり)。アメリカを始めとする、国際社会の介入を拒否する姿勢を見せた。

果たして、中国側の「当事者間の協議」という理論は、通用するのだろうか。

中国は40カ国の支持を"買っている"?

実は中国も、この問題についてアフリカ、アラブ諸国などの支持を取り付けている。それも、経済協力を餌にしてだ。その数は40カ国以上に及ぶと、中国国営の新華社通信が世界にPRしている。

「当事者だけで解決する」という言い分と、矛盾するようにも見えなくもない。

全世界が当事者では?

そもそも、南シナ海の問題に関しては、アメリカは当事者ではないのだろうか。

この地域で中国が軍事的影響力を確立し、海域における航行の自由が奪われでもすれば、世界中の安全や経済を脅かす。

世界中の地域や国々は、密接に影響を及ぼしあっている。紛争の決着が、2国間の話し合いだけでつかない場合、それぞれの国を応援する関係国の意見も踏まえ、「地球的な正義とは何か」を考えなければならない。

南シナ海の問題も、アメリカが介入してしかるべき問題だ。

日本はより当事者のはず

当事者ということを考えれば、南シナ海の紛争に関して、日本はなおさら当事者だ。この地域には、日本の生命線である石油燃料の海上輸送路(シーレーン)が通っているからだ。

南シナ海が中国の海と化さないよう、具体的な対策を打っていくべきだろう。

例えば、南シナ海周辺で親中派とされているラオス・タイ・カンボジアなどは、同時に親日国としても有名だ。

これらの国と、経済、安全保障、思想において協調することで、中国との間に楔を打ち込む必要がある。特にラオスでは、中国の乱開発に対し反発の気運が高まっている。親中派から離脱させるタイミングだ。

日本にしてもアメリカにしても、その他の自由主義国にしても、中国の言う「当事者間の解決」という理論に一切耳を傾ける必要はない。各国の国益と安全のため、当事者として中国包囲網を形成するべきだ。(増)

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