夏の参院選の前哨戦とも言える衆議院北海道5区と京都3区の補欠選挙が24日、投開票された。
北海道5区は自民勝利
このうち、自民党の町村信孝前衆議院議長が昨年死去したことに伴って行われた北海道5区は、町村氏の娘婿で自民党公認の和田義明氏と、野党4党が推薦する池田真紀氏の一騎打ちで、接戦となっていたが、和田氏が当選確実となり、自民党が面目を保った形となった。
今回の選挙は、自民党公認候補と野党4党が推薦する候補の一騎打ちとあって、夏に予定されている参院選の行方を占う戦いと見られていた。
自民党公認の和田氏は、安倍政権の実績や北海道の基幹産業である農業の充実を訴えたのに対し、野党側の池田氏は、アベノミクス批判や安保法廃止を主張していた。
京都3区は民進勝利
一方、京都3区は、育休宣言をした後に不倫が発覚した宮崎謙介前衆院議員の辞職に伴うもの。民進党の泉健太氏の当選が確実になった。
日本のこころを大切にする党の小野由紀子氏、無所属の田淵正文氏、幸福実現党の大八木光子氏、おおさか維新の会の森夏枝氏、無所属の郡昭浩氏は及ばなかった。辞職した宮崎氏が所属していた自民党(辞職と同日に離党)は、候補の擁立を見送っていた。
泉氏は、比例で現職として国会に立ってきた実績をアピール。政策は、最低賃金引き上げや非正規雇用者の待遇改善、福祉の充実、2030年代の原発ゼロ、安保法の廃案などを主張していた。
しかし、民間企業の賃金に政府が口を出すことは経済の統制につながるほか、いまや社会保障費は31兆9738億円(2016年度予算)と過去最高になっている。原発をなくせば燃料の輸入環境が国際情勢に左右されやすい火力発電に頼らざるを得なくなり、安保法をなくせば南シナ海の軍事拠点化を進める中国にアメリカと共同で対応することは難しい。どれも耳ざわりだけがよい政策と言えるだろう。
必要な政策を正面から訴えた幸福
幸福実現党の大八木光子氏は、「まっすぐな、正直な心で、日本の政治を立て直したい」として、(1)観光立国「Japan」の実現、(2)消費減税による景気回復、(3)核装備を含む防衛力の強化を訴えていた。
2014年4月に消費税が8%にアップされてから、消費は冷え込んだままだ。もし予定通り17年4月に10%に引き上げられれば、影響はさらに深刻になる。また、日本をとりまくアジア情勢を見渡せば、北朝鮮による「水爆実験」やミサイル発射が相次ぎ、24日にも、事前探査が難しい潜水艦からの弾道ミサイル発射実験を北朝鮮が行ったことが報じられた。
こうした中で本当に必要なのは、消費税の減税であり、核装備も視野に入れた国防強化だ。これらを正面から訴えた大八木氏だが、一歩及ばなかった。
今回、投票率は、北海道5区で28.27%(24日16時時点)で前回の2014年衆院選を1.89ポイント下回り、京都3区は19.53%(18時時点)で前回を14.11ポイント下回った。耳ざわりのよい政策ばかり訴えたり、不利にならないように重要な争点を避けたりしている政治に対する失望が現れているのかもしれない。
このままでは、日本の民主主義が終わりを迎えてしまう。今、必要なのは、この国に必要な政策を正直に訴え、当選したら正直に実行できる政治ではないか。(紘)
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