韓国で行われた国会議員の選挙(総選挙)で、過半数の議席(151)獲得を目指していた朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる与党・セヌリ党は122議席にとどまった。

逆に、最大野党の「共に民主党」が123と議席を伸ばし、第一党の座を得た。第3勢力の「国民の党」も38議席と躍進。残りの任期が2年を切った朴政権のレームダック(死に体)化が加速することは避けられず、野党の協力がなければあらゆる法案が成立しない、という厳しい状況を迎える。

ちなみに、韓国の国会は一院制、任期は4年で、途中の解散はない。

「奥の手」は、前任大統領の非を追及すること!?

各メディアは、セヌリ党の敗因として、朴氏に近い、「親朴派」が主導した党の公認候補選びの際、「非朴派」との内紛が表面化し、離党議員が続出したことにあると分析する。

また、朴政権は、発足後の3年間、目立った業績も残せず、経済と国民生活が悪化。朴大統領に対する不満はくすぶり続けている。

選挙結果を受けて、朝鮮半島問題の専門誌「コリア・レポート」の辺真一(ビョン・ジニル)編集長が14日、web上に、「惨敗した『選挙の女王』朴大統領に政権浮揚の『奥の手』はあるのか」と題した論考を掲載。

「朴大統領には残された『奥の手』があるとすれば、かつての大統領のように前任大統領の非を追及することかもしれない」として、李明博(イ・ミョンバク)・前大統領の私邸用地の不正購入疑惑などの追及に着手する可能性を指摘。「どうやら、後任の大統領が前任者を裁くというジンクスだけは復活しそうだ」とした。

前任者を"抹殺"する政治手法は前近代的

韓国では憲法上、現職の大統領は刑事上の訴追が免除されるが、退任後は在任中の犯罪について法的責任が問われる。

実際に、大統領が代わるたびに、前任者やその家族が金銭がらみの罪に問われ、逮捕されるなどしてきた。第16代大統領の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏が、退任後、側近や実兄が贈収賄容疑で逮捕され、自身にも不正資金疑惑をかけられ、自殺に追い込まれたことは記憶に新しい。

しかし、新しく権力を握った者が、前任者たちの財産や名誉、生命を奪うような政治は、前近代的だ。そもそも、国民の幸福の追求より、自己保身に走るような人物は、国を率いるリーダーの資格はないだろう。

「恨み心」で国をまとめるのはやめよ

今回の結果を受け、朴大統領がなすべきは、「正しい反省」ではないか。

例えば、セウォル号沈没事件で対応が後手に回ると、朴政権は、産経新聞ソウル支局長を、名誉毀損の罪で出国禁止処分にするなど、国内の不満を「反日」でそらそうとした。また、いまだに「慰安婦」を「外交カード」として使い、事あるごとに日本を揺さぶってきた。

北朝鮮が暴走する中で、日本と手を組もうという姿勢も見せているが、韓国は、そろそろ「恨み心」で国をまとめることをやめ、「正しさ」を追求すべきではないか。

それを通してこそ、日本やアメリカと真の友情を結べるのであり、北朝鮮や中国という独裁国家の脅威を食い止めることができるはずだ。 (真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『守護霊インタビュー 朴槿惠韓国大統領 なぜ、私は「反日」なのか』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1114

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