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徳島県への消費者庁の移転を検討するため、消費者庁の職員10人が14日から4日間、徳島で業務する実験を行っている。
「お試し移転」の場所は、徳島県神山町。徳島空港から車で約1時間の位置にあり、2004年頃からネット環境も充実させたところ、IT企業12社の拠点も開設された町だ。
初日は、ウェブ会議で東京にいる職員とやり取りしたり、国会に提出中の消費者契約法の改正案についての資料を作成したという。
政府は、「地方創生」の重要施策の一つとして、「国の機関の地方移転」を掲げている。誘致を希望する道府県を募集したところ、徳島県が名乗りを上げた。
文化庁も数年以内に、京都への全面的な移転が行われる方針だ。3月末にまとめる政府移転方針に盛り込まれる可能性が高く、もし実現すれば、約1割の職員のみが東京に残り、残りは京都に移転することになる。
東京への人口流入の原因は「不況」
こうした「移転話」が持ち上がる背景には、東京圏への人口流入が20年近く続いていることがある。昨年も東京圏への転入者は、転出者を約12万人上回っている。
ただ、こうした東京一極集中が起こる理由は「不景気」だ。好況の時は、地方でも仕事があるが、不況になると、地方に仕事がなくなるため、仕事を求めて東京圏に人がやってくる。実際、景気の良かった1980年後半から90年初めは、東京圏への流入は年々、減少していたが、バブルがはじけた後から流入が増加した(転出入を相殺した値)。
つまり、日本全体の景気をよくすることが、地方創生につながるということだ。
リニアで全国を結び、GDPを増大させる
今、省庁の移転よりも積極的に推し進めるべきなのは、交通インフラの整備を進めること、もっと具体的に言えば、リニア新幹線の全国網を敷くことではないか。その方がよほど経済発展につながる。大川隆法・幸福の科学総裁も、「 リニア新幹線で全国を結んだ場合のGDPは、おそらく今の三倍ぐらいになる 」と指摘している(『大川隆法政治講演集2010第6巻』)。
リニアであれば、東京―大阪間も1時間程度。東京までの移動時間が短くなり、地方で仕事をする人も増えるはずだ。実際、北陸新幹線が開業し、首都圏と北陸を行き来した人の数は3倍になった。また、北陸の中小企業のうち、景気が「良い」と感じる企業の割合から「悪い」と感じる企業の割合を引いた値もマイナス9.3からプラス2.7となり、24年ぶりにプラスに転じた。
現在のところ、JR東海は自己資金でリニアを敷こうとしている。東京―名古屋間の開業は2027年の予定で、大阪まで伸びるのは45年だ。JR東海の気概は尊いが、これほどの大事業を民間企業のみでやることには、無理がある。政府は「省庁の地方移転」などよりも、こうした事業にこそ取り組むべきだ。
(山本泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『夢のある国へ――幸福維新』 大川隆法著
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