2016年は、台湾総統選、韓国の総選挙、フィリピンの大統領選、日本の参院選、アメリカの大統領選など、アジアを中心に世界各国で重要な選挙が行われる。

あまり注目されていないが、国連でも重要な選挙が行われる。国連の事務総長選だ。現在、事務総長である韓国人の潘基文(パン・ギムン)氏の任期が今年いっぱいで切れる。

これまで事務総長選は、事実上、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5つの常任理事国が候補者を1人に絞って、それを安全保障理事会(安保理)に図っていた。つまり、事実上、常任理事国が決めていた。

だが、次の事務総長選からは、安保理が複数人の候補者を選んで、総会で選挙を行う方法などが検討されている。

有力候補のボコバ氏は中国と仲良し

現時点で、マケドニアの元外相で国連総会の前議長であるスルジャン・ケリム氏、クロアチア外相のベスナ・プシッチ氏など5人が正式に出馬表明している。

その中でも、有力候補として注目されているのが、ブルガリア出身のイリナ・ボコヴァ氏だ。

彼女は2009年から国連の専門機関である国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)事務局長を務めている。

14年3月に、ユネスコ本部を訪れた習近平・国家主席と会談。同年9月には、「私たちは中国と特別な関係にある」と発言している。

抗日行事で、習近平氏と笑顔で写真に納まる

また、彼女は、翌15年10月には、ユネスコ記憶遺産に、中国が申請していた「南京大虐殺文書」の登録を、最終的に決断した。それに先立つ同年9月には、中国・北京で開かれた「抗日戦争勝利70年記念行事」に出席し、習氏と笑顔で写真に納まっていた。

このほど報じた産経新聞によると、ボコバ氏は、抗日記念行事に参加した際、事務総長選に大きな権限を持つ中国の政府関係者と接触した。現時点で国連内では、初の女性事務総長の選出を歓迎する向きが強いという。

中国との関係が取り沙汰される人物が、国連のトップとしてふさわしいのか。今年から任期2年の、安保理の非常任理事国となった日本は、国連の場でも「外交力」が試される1年になりそうだ。(祐)

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