2016年3月号記事
第42回
釈量子の志士奮迅
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
国境の島で考えたこと
「海の上を、ミサイルが飛んでいくのを見た」
そう証言するのは、日本最西端の地、与那国島の人々。1996年、中国共産党が台湾への恫喝として、海にミサイルを撃ち込んだ時の話です。
島の人々は1958年、台湾が中国共産党に攻撃された、「第二次台湾海峡危機」の時にも、海の向こうから響き渡ってくる砲撃音を聞いています。
今は、国境について考える時期。1月14日は日本政府が尖閣諸島を領土編入した「尖閣諸島開拓の日」で、2月7日は「北方領土の日」、2月22日は「竹島の日」です。特に沖縄は、軍事大国を目指す中国の脅威と隣り合わせの地域です。
今、日本の安全を揺るがしている辺野古基地移設問題を、新しい視点から見るため、「国境の島」に飛びました。
「国境の島」の緊張感
日本最西端の島、与那国島。 Katsuya Noguchi / PIXTA(ピクスタ)
与那国空港に着いて、まず目に飛び込んでくるのは、入り口を守るように交差する、2本の大きな日の丸です。
左翼が力を持つ沖縄県内の風景としては意外でしたが、「ここが日本である」ことを強く意識せざるを得ない、国境の緊張感のようなものを感じます。
現地では、外間守吉・与那国町長はじめ町議の皆様にお話をお伺いしました。与那国では、自衛隊基地の建設が急ピッチで進められています。中国の脅威に不安を募らせる住民たちは、歓迎しているそうです。
海を見ていると、与那国の人たちが抱いている危機感を、ひしひしと感じます。ここはまさに、国防の最前線でした。
この地から、目を真東の沖縄基地問題に向けてみます。
翁長雄志知事をはじめとした左派勢力が、政府を相手取り、反対運動を展開。米軍基地を追い出さんかのような勢いです。
反対運動では、「沖縄は、本土の犠牲にされてきた」という側面ばかりが強調されます。
沖縄が、日本から分断されようとしている。それがどれだけ危険なことかが、「国境の島」から見るとよく分かります。
沖縄・本土の分断に注意
沖縄と本土の分断―。このテーマに関してよく出てくるのが「民族のルーツ」という話です。大川隆法・幸福実現党総裁は、沖縄も日本人も同じムー大陸(注)の直系と指摘しています。その歴史を考える際に特筆すべきは、「与那国海底遺跡」です。この遺跡は、島の海岸から100メートルの海底で、1986年に発見されました。
私は遺跡の第一発見者である、新嵩喜八郎さんに詳しくお話を伺い、翌日、この目でも見てきました。年代測定をすると、なんと1万年前のもの。歴史学上、「人類文明がなかった」時代ですが、見るからに人工物です。
そこには、石畳のような広場、亀のような石、「拝所」(礼拝所)のような構造物があります。
石畳の淵を見下ろせば、巨大な階段が整然と続いています。さらに深い場所には、城門、水路なども……。この海底遺跡、エジプトのピラミッドにも匹敵する大きさだそうです。
1万年前、ここに誰が住んでいたのか。この巨大遺跡は、どんな歴史を見てきたのか。今の沖縄や、日本とは、どんな関係があるのか……。
悠久の歴史に思いを馳せると、「琉球処分などの浅い歴史で、本土と沖縄がいがみ合ってもしょうがない」という気持ちが湧いてきます。
沖縄と本土は、安全保障上も、歴史上も、「一心同体」なのです。
(注)1万2千年前ごろに沈没したとされる太平洋上の大陸。
辺野古移設は待ったなし
この島では、晴れた日には、海の向こうに台湾の島影が肉眼で見えます。
台湾独立志向の民進党から、蔡英文が総統に当選した背景には、台湾を呑み込もうとする中国の脅威があります。
昨年7月、中国国営中央テレビが放映した人民解放軍の演習に、台湾の総統府に似た建物が映っていたことは「何か」が近づいていることを意味します。
沖縄も状況は同じです。
米海軍・太平洋艦隊の大佐は、中国の人民解放軍の演習の分析から、「尖閣諸島を占領する訓練を行っている」「人民解放軍は、局地戦で日本の自衛隊を破り、尖閣諸島や琉球諸島南部を強奪するという新しい任務が与えられている」と指摘しています。
米軍基地の県外移設などもっての外です。むしろ、自衛隊の増強を急がねばなりません。