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民間企業がアメリカの宇宙開発をリードしている。

米民間宇宙開発ベンチャー「スペースX」がこのほど、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から、通信衛星11基を積んだロケット「ファルコン9」を打ち上げた。その後、ファルコン9はロケットの1段目を本体から分離させ、逆噴射を利用して地球へ垂直着陸させることに成功した。

ファルコン9の打ち上げは6月の失敗以来。前回は発射後わずか2分でロケットが爆発したこともあり、今回の成功の喜びは格別だ。

スペースXのCEOであるイーロン・マスク氏は着陸成功後、自身のツイッターで「Welcome back, baby(おかえり、ベイビー)」とツイートし、喜びを表している。

ロケット再利用はコスト削減につながる

ファルコン9の打ち上げ、着陸成功は、2つの点で大きな意味を持つ。

1つ目は、ロケットの再利用につながる点だ。

ファルコン9では、ロケットの一番大きな部分である第1段目が回収・再利用される。一度打ち上げたロケットでも、整備し、推進剤を再補給すれば、もう一度宇宙へ行くことが可能だ。

打ち上げ機の再利用は、2010年に引退したスペースシャトルでも行われていた。しかし、帰還後、再利用に向けた機体の整備コストなどが高騰し、打ち上げ費用の低減に失敗した。

ファルコン9では、ロケットの回収が確実になれば、打ち上げ費用は約100分の1になるという。そうなれば、民間企業間での宇宙開発が活発化し、宇宙がより身近な存在になるだろう。

人工衛星を積んだ難易度が高い打ち上げ

2つ目は、ファルコン9が人工衛星11基を打ち上げた点だ。

スペースXに先んじて、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ペゾス氏が設立したブルーオリジンは11月、開発中のロケット「ニューシェパード」の再着陸を成功させた。

ただニューシェパードは、高度100キロと目標高度が低く、衛星も積んでいない。ファルコン9の方が技術的な難易度が高く、より実用的と言える。

2026年までの火星移住計画

電気自動車会社「テスラモーターズ」、太陽光発電企業「ソーラーシティ」。マスク氏が手掛ける事業は多岐にわたる。その中でも、スペースXにかける思いは特別だ。

今、世界を取り巻く問題の一つに、人口爆発がある。地球の人口は2050年には人口は90億人に達し、今世紀末には100億人を超えると予想されており、食料や資源の枯渇など、避けては通れない。そうした危機感がマスク氏を宇宙開発へと突き動かす。

マスク氏は、火星への100万人規模の移住が必要とし、スペースXが開発する宇宙船で、2026年までに人類を火星へ連れていくことができると語る。スペースXには、人類と地球をテクノロジーで救いたいという、マスク氏の利他の思いが込められているのかもしれない。

こうした「真剣さ」「利他の思い」は、アイデアを引き寄せる一つのカギとなる。マスク氏のような、世の中に新しい価値を提供できる企業家たちが、未来社会の担い手となっていくのかもしれない。今後のマスク氏の活躍から目が離せない。

(冨野勝寛)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『ロケット博士・糸川英夫の独創的「未来科学発想法」』 大川隆法著

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