天皇陛下が、12月23日に82歳の誕生日を迎えられた。

これに先立ち、陛下は記者会見に臨まれた。今年は戦後70年という節目の年だったとした上で、「さまざまな面で先の戦争のことを考えて過ごした1年だったように思います」と振り返り、「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」と話された。

陛下は、会見時間の多くを戦争と平和への思いに費やされた。その中でも、先の大戦で日本軍に徴用された民間船が、米軍の攻撃で犠牲になった例に触れ、言葉を詰まらせながら次のように語られた。

「私も小さい時、船の絵はがきを見て楽しんだことがありますが、それらの船は、病院船として残った氷川丸以外は、ほとんど海に沈んだということを後に知りました。制空権がなく、輸送船を守るべき軍艦などもない状況下でも、輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを本当に痛ましく思います」

民間船攻撃は国際法違反

陛下が、米軍の民間船攻撃に触れられた点には意義がある。当時の米軍は、南方に展開する日本軍の兵站を断つため、非武装である日本の民間船を無差別に沈めた。その中には病院船も含まれていたが、これは明らかな国際法違反だ。

米軍は、戦争に勝つためには手段を選ばない戦闘行為を犯し続けた。広島・長崎への原爆投下の例を出すまでもないだろう。一方、武士道精神を抱く日本は、「軍人対軍人」の決戦思想を持ち、民間人への攻撃を潔しとはしなかった。アメリカが批判する、真珠湾攻撃も、民間人を標的にしたものではない。

A級戦犯が処刑された日

また、12月23日は、A級戦犯とされた東條英機・元首相ら7人が死刑になった日でもある。

死刑判決を下した極東国際軍事裁判(東京裁判)は、米英などの連合国が、「いかに日本は悪者であったのか」という結論ありきで行ったものである。その不当性を示す根拠は挙げればきりがないほどで、処刑された東條は、今も「戦犯」という汚名を着せられている。

A級戦犯が起訴された日は、昭和天皇の誕生日である4月29日。そして、死刑になったのは、今上天皇の誕生日である12月23日。アメリカは、皇室にまつわる日を政治利用し、日本の誇りを傷つけたのだ。

来年は、東京裁判開廷70年を迎える節目の年。東京裁判を取り上げるニュースも今後増えるだろう。日本が掲げた「アジアの植民地解放と自衛戦争」という大義を語り継がなければならない。(山本慧)

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