2016年2月号記事
日本と「イスラム国」の意外な共通点
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誤解だらけの「イスラム国」
「殲滅」で本当にいいんですか?
パリ同時多発テロ以降、欧米による「イスラム国」への空爆が強化されている。
難民も排斥されているが、本当にそれでいいのか。
今、国際社会における「正義」のあり方が問われている。
contents
「和の心」が中東を救う
イスラム国の立場を理解できても、すべてを肯定するわけにはいかない。
かつて同じような立場だった日本の歩みには、中東和平のヒントがある。
(編集部 中原一隆、山本慧)
比較1 日本は他民族を愛した
日本
共栄
日本が先の大戦で掲げた大義は、世界が一つの家族のように睦み合うという「八紘一宇」だ。欧米の植民地支配に苦しむアジアを解放しようとした。
1943年11月、東條英機内閣は、アジア各地の代表者を集めて「大東亜会議」を開き、「人種差別をなくす」と宣言した(写真1)。
インドネシアを統治した日本は、現地人に対し、行政や議会運営に参加する自由を認め(同2)、女子教育にも力を入れた(同3)。
写真1
写真2
写真3
イスラム国
迫害
イラク戦争以降、迫害されてきたスンニ派は、バグダディ氏を指導者として自分たちの国を建てるために立ち上がった(写真1)。
しかし、戦いの最中、他の民族・部族・宗派を排斥。特に独自の信仰を持つヤジディ教徒は集団で虐殺されるなど激しく迫害され、難民となっている(同2)。奴隷として売られる女性もいる(同3)。
国を興し、人々を統治するなら、多様性を認め、人々が安全に暮らせる環境をつくる努力も必要だ。
写真1
写真2
写真3
日本は他民族を愛した
インタビュー ロレッタ・ナポリオーニ氏 「イスラム国」は単なる過激派ではない
インタビュー ベン=アミー・シロニー氏 日本は中東近代化のモデルとなるべき