2015年12月号記事

ユネスコの誤審

「南京」登録で 中国の反日は活気づく

ユネスコ記憶遺産に「南京大虐殺」資料が登録された。今後どのような影響が出るか。中国問題に詳しい河添恵子氏に聞いた。

ノンフィクション作家

河添恵子

(かわそえ・けいこ)1963年千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、87年より遼寧師範大学(大連)へ留学。94年に作家活動をスタート。主な著書は『中国人の世界乗っ取り計画』(産経新聞出版)ほか多数。

(1)サンフランシスコのサクラメント通りにオープンした抗日戦争記念館。撮影:M.Sugino

(1)館内には、日本軍が南京などで残虐行為を働いたとする写真や資料などが、英語と中国語で展示されている。撮影:M.Sugino

――記憶遺産に「南京」が登録されました。

河添氏(以下、河) 「嘘の遺産」でも、中国が政治力で登録できる時代になったのか、というのが率直な気持ちです。ユネスコという国連の機関から「お墨付き」を得たわけですから、今後、中国の「反日活動」はますます活気づくでしょう。

抗日記念館を世界中につくる

――具体的には、どのような影響が出ると考えられますか。

終戦の日にあたる8月15日、米カリフォルニア州サンフランシスコ市のチャイナタウンの一角に、中国国外では初めてとなる「海外抗日戦争記念館」(写真(1))がオープンしました。在米女性実業家で館長の方李邦琴は、パンフレットに次のような言葉を寄せています。

「第二次世界大戦の間、ナチス・ドイツに約600万人のユダヤ人が虐殺され、全世界に167カ所のユダヤ記念館や記念碑がある。しかし、日本軍国主義により3500万人以上の中国人が抹殺されたが、海外に記念館は一つもない。それでは世界がこの悲惨な歴史を理解できない」

これは、ユダヤ記念館に匹敵する数の抗日記念館を世界中につくるという宣言だと読み取れます。今回の登録は、この動きの追い風になるでしょう。

――本当にそんなことができるでしょうか。

次ページからのポイント

アメリカの中国系反日団体「抗日連合会」について

日本はどう対応すべきか

「南京大虐殺」「従軍慰安婦」。歴史ねつ造でジェノサイド(民族浄化)