2015年11月号記事
「お寺が消える時代」に考えたい
本当に安心できる「終活」
人生を後悔なく締めくくれるように備える「終活」がブームだ。しかし一方で、葬儀の担い手であった僧侶の存在意義が問われ、全国でお寺が消えている。「0葬」「自然葬」などで済まそうとしている人もいる今、「本当に安心できる終活」とは何かを考えたい。
(編集部 河本晴恵、山本慧、冨野勝寛)
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8月、関東地方のあるショッピングモールで、人生の終わりに備える「終活セミナー」が開かれた。この日は記者を含めて約10人が参加し、ほとんどが60代~70代ぐらいの団塊の世代だった。
セミナーで講師が話すのは、亡くなった後に家族に迷惑をかけないための「葬儀」「相続」「保険」などのテーマ。生き生きと話す講師とは対照的に、参加者は暗い表情を浮かべていた。
その後記者は、死を疑似体験できる「入棺コーナー」に立ち寄った。棺の中に寝ころぶと、不思議と安らかな気持ちになり、自分の人生を振り返りたくなった。
今、こうしたセミナーは全国で開かれており、参加者が定員を上回るところもある。終活は、中高年層の密かなブームになっている。
知っておきたい「終活」事情
仏教界の危機・消滅するお寺
生活保護以下の僧侶もいる現状