2015年11月号記事

ユネスコ記憶遺産 中国の新しい申請書を入手!

戦後70年 日本の誇りを取り戻そう

幸福実現党が緊急反論

やはり、中国の資料は「大虐殺」「強制連行」を示していない

中国が「南京大虐殺」「従軍慰安婦」をユネスコ記憶遺産に登録するために、このほど、新しい申請書を提出した。本稿では、その内容に対する、幸福実現党の反論を紹介する。

(編集部 山下格史、中原一隆)

中国が当初提出した申請書と、新たに提出された申請書。新しい申請書ではタイトルから「Sex Slaves(性奴隷)」の文字が消えている。

幸福実現党は過去3回、中国の申請に反論してきた。画像は、その内容を紹介してきた弊誌。

中国がユネスコ記憶遺産に、「南京大虐殺」「従軍慰安婦」資料を登録申請している問題で、今夏に資料の不備を指摘されていた中国が、ユネスコに対し、新たに提出した申請書の中身が、このほど明らかになった。

新しい申請書では、これまで問題視されていた記録物の取り下げはない。そればかりか、逆に、数点の新しい記録物を追加して登録申請している。

これまで中国の申請に対し、延べ100人超の識者の賛同を得た反論書を3回にわたって作成・提出してきた幸福実現党(釈量子党首)は、この新しい申請書に対する反論書を作成。代表者が9月15日に、パリのユネスコ本部を訪れ、4回目となる反論書を提出。中国の申請を却下するよう申し入れた。

今回、本誌は、同党の反論書の要旨を紹介する。

中国は、「南京大虐殺」「従軍慰安婦」に関する新しい申請書をユネスコに提出しました。しかし、その内容はこれまでと同じく、極めて杜撰であり、虐殺や強制連行を示すものではありません。最終審議を目前に控えていますが、幸福実現党は最後まで中国の「歴史のねつ造」に反論し続けます。

◇ ◇

中国は「南京大虐殺」の資料として、新たに、「イギリスやドイツに住んでいた中国人が、中国本土の知人にあてた手紙」を追加しています。申請書には、イギリスから送られた手紙として、次のような内容が抜粋されています。

「昨日の新聞によると、日本兵が南京で女性数万人を強姦し、その中には12歳の少女も含まれていたという。強姦の末殺害された人数は数え切れず、残忍非道だ」

しかし、これはあくまで海外の新聞情報で、手紙を書いた本人が虐殺を目撃したわけではありません。当時、中国大陸の利権拡大を狙っていた欧米諸国が、マスコミを使ってプロパガンダ(政治的な宣伝)で日本を貶めようとしていたことは歴史的な事実です。

つまり、 こうした手紙は、「大虐殺」を示す資料でないばかりか、歴史的に何の価値も持ちません。 中国が新たな申請でこの程度の資料しか出せないことは、逆に、 「大虐殺」を示す資料は存在しない、つまり、「大虐殺」が存在しないことを裏付けています。

中国の資料は「強制連行」を示していない

中国は「従軍慰安婦」の資料も新たに追加しています。その一つが、「中国共産党が調査した、戦犯日本兵1千人の供述書」です。それは次のような内容です。

「1千人以上の日本の戦争犯罪者たちが、1952年から56年にかけて、中国共産党政府の調査を受けた。そのうち、約8・5%が『慰安所を設立した』と認め、61%が『慰安婦と性的関係を持った』と供述した」

しかし、この調査で分かることは、あくまで「慰安婦が存在した」「日本兵が慰安婦と関係を持った」というごく普通のことです。本来 中国が主張したい、「強制連行があった」「性奴隷として扱われた」ことを示すものではありません。

仮に、強制連行に関する供述だとしても、日本兵がどのような状況で供述させられたのか、定かではありません。日本兵が法的な保護を受け、反論する余地が与えられたフェアな環境の下で得た情報であることを、中国側は示す義務があります。

慰安婦を「募集」「買った」

第二次大戦当時、あらゆる交戦国が売春宿を運営していた。上は、ドイツがフランス・ブレスト市に設けた売春宿。ここではシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)が施設として使われた。下は、アメリカ・ハワイ州ホノルル市に設けられた、ホテル・ストリートの売春宿に並ぶ兵士。

「南京憲兵隊管轄区域の治安回復状況の調査報告」。中国は、慰安婦の「強制連行」を示すとしているが、中には、日本軍が市民を治療している記述がある。

中国のユネスコ登録申請を受けて、幸福実現党は2014年7月26日に抗議デモを行った。

15年5月26日には、幸福実現党の釈量子党首がパリのユネスコ本部を訪問し、中国の申請を却下するよう求めた。

同年6月10日、釈党首、天児都氏、そして茂木弘道氏が外国特派員協会で中国の申請に不正があることを訴えるための記者会見を開いた。

追加された「従軍慰安婦」資料として、もう一つ挙げているのが、中国・吉林省档案館(注)が所持するという「日本軍の慰安婦記録」です。新しい申請書には、次のような説明文を添えています。

「日本兵が慰安婦を募集していることを示す25件の資料。その中には、慰安婦や日本兵の数を記したもの、10日間にわたる慰安婦の使用頻度、そして、日本軍が公金を使って慰安婦を買ったことを示す資料などがある」

しかしこれも、「慰安婦が存在した」ことは分かっても、「強制連行があった」ことを示すものではありません。

説明文では「慰安婦を買った」という件を、英語で「Purchased」(買った)と表現しており、素直に読めば、「お金を出して買った」という当時は問題のない行為です。「慰安婦を募集」という件も、英語で「Recruit」(募集)と表現しており、極めて常識的な形で慰安婦を集めていたことを示しています。

申請書に示された25件の資料の一つに、日本軍華中派遣憲兵隊が1938年2月に記した「南京憲兵隊管轄区域の治安回復状況の調査報告」があります(上画像)。

しかし、この資料をよく読めば、日本軍が中国人市民に無料で病気や怪我を治療する様子が記されています。市民に善意を施す傍ら、慰安婦を「性奴隷」にしていたというのは辻褄が合いません。

また別の資料には、中国人慰安婦だけでなく、日本人慰安婦がいたと示されています。もし、慰安婦が「性奴隷」であれば、日本人も同じ目に遭っていたことになります。ですが、日本軍が自国民を強制連行した歴史はありません。

これらの矛盾について、中国側は説明する義務があります。

(注)中国吉林省の長春市にある公文書館。

中国はユネスコのルールに違反している

日本の歴史家の研究を通じて、「南京大虐殺、慰安婦の強制連行は、いずれも存在しない」ことを知っている人は、こうした資料の問題点を理解できるでしょう。

しかし、 戦後の国際社会には、漠然と「いずれも存在した」という認識が広がっています。中国はその状況を利用して、それらしい資料を申請し、ユネスコを煙に巻いて、登録を実現させようとしているのです。

そうした中国の思惑が垣間見えるのは、新しい申請書において、以前よりも過激なトーンを抑えているところです。

「南京大虐殺」では、以前はあった、日本とナチス・ドイツを並べて紹介する部分を削除しています。「従軍慰安婦」でも、一カ所をのぞいて、タイトルや本文から「Sex Slaves(性奴隷)」という表現を削除しています。

ただ注意すべきは、全体としては、相変わらず「南京大虐殺はあった」「慰安婦は強制連行された性奴隷だ」という主張で貫いている点です。

「慰安婦」に関する新しい申請書の冒頭には、「『慰安婦』とは、日本帝国軍によって性的に隷属させられた女性のこと。そのほとんどが、日本軍によって強制的に性奴隷にされた」としています。

しかし、 歴史的な事実は、慰安婦は「強制連行された」のでなく、「法的保護を受けた風俗業」です。 このような施設は戦時中、あらゆる交戦国が設置しており、日本の慰安婦制度のみが、特別であったという事実はありません(右写真)。

中国の申請は、ユネスコ記憶遺産のルールにも違反しており、申請資料は登録するに値しないのです。

◇ ◇

中国が、戦後70年の今年に、こうした登録を目指すのは偶然ではないでしょう。

中国の申請は、政治的なプロパガンダであり、自らの「大虐殺」や「強制連行」の主張に、ユネスコという国際機関のお墨付きを得ようとするものです。まさに、ユネスコの政治利用と言えます。

ユネスコ記憶遺産の関係者には、中国の申請の奥にあるたくらみを見抜いて却下するよう、強く求めます。

中国の申請の主な4つの問題点

(1) 真正性の欠如(主張に嘘がある)

(2) 希少性の欠如(資料に特別な価値がない)

(3) 公開性の欠如

(4) 著作権の欠如