【エジプト現地レポート】混迷するエジプトを救うために日本がすべきこと

【エジプト現地レポート】混迷するエジプトを救うために日本がすべきこと

 

 

2014年7月号記事

 



2014年6月4日 ロングバージョンを掲載いたしました。


 

エジプト現地レポート

 

HS政経塾1期生 幸福実現党山形県本部副代表

城取良太

(しろとり・りょうた)1977年東京都生まれ。2000年、成蹊大学経済学部卒業後、人材コンサルティング業界2社を経て幸福の科学に奉職。10年にHS政経塾に第1期生として入塾。13年に卒塾し、現職。

Webチャンネル「中東熱風録」で中東情報を発信中。

混迷するエジプトを救うために日本がすべきこと

 

エジプトでは5月26日から27日に大統領選が行われ、前国防相のシシ氏の当選が確実視されている(5月20日現在)。混迷するエジプトは今後どこに向かうのか。HS政経塾第1期生で、エジプト留学経験のある城取良太氏が現地からレポートする。

 

 

 大統領選を1カ月後に控えた4月中旬、エジプトの首都カイロにあるタハリール広場を訪れた。2011年のエジプト革命の舞台となった地である。

 ビデオ撮影をしていると、若者たちが近づいてきて、にこやかに「モルシ、ソーバッド」「シシ、ベリーグッド」と前国防相シシ氏への支持を訴えた。私は12年にエジプトに留学していたが、当時の喧騒がウソのように、穏やかな時間が流れていた。

 

 

 

シシ氏の評価と今後の課題

2012年12月のタハリール広場の様子。イスラム色の強い新憲法施行に抗議の声をあげるエジプト国民たち(筆者撮影)。

 11年、チュニジアのジャスミン革命に端を発した民主化の波はエジプトにも達し、30年に及ぶ軍事独裁のムバラク政権が倒された。しかし、民主的な選挙で誕生したモルシ政権も、シシ氏が指揮した軍部のクーデターによってわずか1年で倒れた。

 一方、今回の大統領選で当選が確実視されるシシ氏だが、現地の人々に聞くと、「他に有力な候補がいないだけ」など、思ったほど評価は高くなく、少々驚いた。

 不正を嫌うイスラム圏全体の傾向と言えるが、公正さを大切にする軍への国民の信頼は根強い。だが、軍政が本格的に復活すると、言論や表現、報道の自由などが奪われる懸念がある。現地のメディア関係者によると、ムバラク、モルシ政権時に比べても、現在は報道規制が強化され、特に外国メディアへの風当たりが強くなっているという。

 現地で出会ったコプト教徒の男性は、モルシ政権を嫌悪しながらも、「シシは国を守るという思いは強いが、エジプトを発展させる具体的なプランやビジョンがない」と厳しく批判する。

 実際、シシ氏の経済政策の手腕は未知数だが、軍政下では統制的な経済体制が予想される。そうなれば、自由なアイデアと創造性を持った企業家たちは力を発揮できず、国民が期待する経済の発展は見込めないだろう。

 

 

エジプト混迷の原因は経済問題にある

 実はモルシ政権崩壊の大きな原因も、経済政策の行き詰まりにある。エジプト国民の21%は、1日の収入が2ドル以下の貧困層だ。特に農村部ではその割合は40%以上を占める。モルシ政権の支持母体であるムスリム同胞団は、こうした貧困層への食料や衣類、教育の無償提供などで支持を広げてきた。

 こうした草の根的な活動のためか、日本の一部メディアはムスリム同胞団を「穏健派」と表現する。だが、その目的や理念は極めて「原理主義」的で、多くのテロ組織を生み出している。

 厳格なイスラムに基づく憲法制定を急いだモルシ政権は、「自由を奪われる」という警戒心を与え、多くの国民や既得権益層との衝突は決定的になった。

 それでも経済がうまく回れば、国民の支持は得られたかもしれないが、このイスラム政権には富を生み出す発想が欠けていた。結局、バラマキ政策以外に打つ手はなく、国民の信を失った。

 

 

アメリカに代わって日本がエジプトを救え

5月の大統領選で当選が確実視されるシシ前国防相は、エジプトを立て直せるか。写真:代表撮影/AP/アフロ

 こうした経済問題を解決しない限り、エジプトの混迷は続く。

 エジプトは数十年来アメリカとの関係が深く、ムバラク政権時代には、経済・軍事両面で支援していた。だが、オバマ大統領がムバラク政権を見捨てたことで反米感情が高まり、現在は在エジプト大使も不在だ。

 中東在住歴20年のアメリカ人の男性は、「アメリカ出身ではなく、カリフォルニア出身と言っているよ」と冗談混じりに語ってくれた。実際、私が留学していたカイロ・アメリカン大学では、欧米系の留学生が激減し、その多くは比較的政情の安定した近隣諸国に逃げている。

 こうした状況でエジプトを救えるのは日本しかない。エジプト人は、戦後、奇跡的な経済発展を成し遂げた日本を尊敬し、憧れを抱いている。留学時代の同級生であるエジプト人男性は、「エネルギー資源がない中で、素晴らしい技術力を手にした日本に、エジプトも学ばなくてはならない」と語っていた。発電所や道路建設、教育制度など、日本が培ってきた社会インフラ整備のノウハウは、彼らが今、最も必要としているものだ。

 エジプトとの関係を深めることは日本の国益にもかなう。エジプトはアフリカと中東を結ぶ要所で、日本にとっても魅力ある市場だ。中国も進出を始めているが、エジプトが将来的に自立できる形で経済援助を進め、さらに日本のファンを増やせば、中国の世界覇権戦略を食い止める大きな布石となるだろう。

 今、日本に必要なのは、アメリカ追随ではない、独自の外交戦略だ。日本とエジプト双方の未来のため、腰の入った関係構築が求められている。

 

 

最近のエジプトの主な出来事

2011年1月

エジプト革命。民衆デモにより、30年以上続いたムバラク政権が崩壊。

2012年5月

史上初の自由選挙による大統領選でモルシ政権が誕生。

2012年12月

新憲法施行。イスラム色の極めて強い憲法内容に国民は強い懸念を表す。

2013年7月

軍による事実上のクーデターによって、モルシ政権が倒れる。

2014年5月

大統領選で、軍出身のシシ前国防相と民主革命派のサバヒ氏が対決。

 

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