2014年4月号記事

interview

実践編1 経営者の時間術

「デッドライン仕事術」で19期連続増収増益

トリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長として、残業ゼロを実現しながら同社を19期連続増収増益に導いた吉越浩一郎氏。仕事時間を短くしながら成果を増やすという、一見相反することをどのように両立させたのか、話を聞いた。


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経営コンサルタント

吉越 浩一郎

(よしこし・こういちろう)

1947年千葉県生まれ。独ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパンなどを経て、83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社し、86年より同社の日本法人に勤務。92年に代表取締役社長に就任し、19年連続増収増益を達成した。現在は、吉越事務所代表として講演や執筆活動を続けている。『 「社長」を狙うか、「社畜」で終わるか。 』(日本実業出版社)など著書多数。

※The Liverty 4月号では吉越浩一郎氏直筆サイン入り『 「社長」を狙うか、「社畜」で終わるか。 』を3名様にプレゼント中!詳しくは本誌4月号81ページをごらんください。

時間を有効に使うために必要なことは、経営者も社員も同じだと思います。それは、デッドライン(締め切り)を決めて、時間を区切ることです。

たとえば今日中にやらなければならない仕事があって、4時間かかる見込みだとする。しかしその日は会議などが入っていて、3時間しか使えない。しかも残業はダメとなったら、4時間を3時間に縮めるしかない。

それは不可能かというと、集中すれば意外にできてしまうんですね。ところが、残業できるとなると4時間のつもりで始める。途中で気になったことをインターネットで検索しながらやっていると、結局、帰りが午後10時になったりするわけです。こんな調子で何年間か仕事をしていたら、どちらが仕事ができるようになると思いますか。当然、残業しないで帰った方です。だからデッドラインが必要なんです。

経営者はそれを全社員に徹底させるわけですが、社員は、重要度が高い仕事ではなく、緊急度が高い仕事を先にやるのが普通です。だから、 上司や経営者がデッドラインを決めることで緊急度を上げ、会社にとって重要な仕事を進めるのです。

やるべきことは、担当者に、「何を、いつまでに、どのように」やるかを聞くことです。そうすると、論理的に飛躍があったり、詰めが甘いところがある。それを質問攻めにして修正していきます。あくまでも担当者に考えさせ、結論を持ってこさせることが重要です。