輸出入を合わせた「モノ」の貿易総額について、中国が2012年、米国を抜いて世界一となった。世界経済における中国の存在感を示すニュースだが、それと比例して中国は、これまで経済成長を手助けしてもらってきた日本や米国などに感謝の気持ちを持つべきである。

中国税関総署が発表した貿易総額は、3兆8667億6000万ドル(約358兆円)。これに対し、米商務省が発表した貿易総額は、3兆8628億5900万ドルで、中国が米国を約40億ドル上回った。

近年、中国の経済発展には目を見張るものがあるが、それを特に支えてきたのが日本と米国だ。日本や米国の企業は工場を中国に移転し、生産を行い、多くの雇用を生み、給料を支払い、そこで働く人々の家族や地域、そして中国という国自体を豊かにしてきた。

よく知られているのが、1978年、当時、副首相だったトウ小平氏が、大阪の松下電器産業(現:パナソニック)のテレビ工場を視察に訪れた際、「中国の近代化を手伝ってくれませんか」と頼んだエピソードだ。その時、松下幸之助氏は「できる限りのお手伝いをします」と答え、松下電器はその翌年に北京事務所を開設。その後、日本企業として戦後初めて中国への工場進出を果たした。

また、中国の貿易総額が急拡大したのは、2001年のWTO(世界貿易機関)への加盟が大きく影響している。つまり、自由主義国からの企業進出や自由貿易の仲間入りをさせてもらったことがあったからこそ、中国経済は急速に発展したわけである。

儲けたお金で着々と軍備拡大を続け、核ミサイルを保有することに成功した中国にしてみれば、「してやったり」という思いがあるだろう。だがその行きつく先は、過去にヨーロッパ諸国が失敗した植民地主義の略奪経済である。

本来、貿易は勝ち負けでなく、両者が得をする「WIN-WIN」の関係でなければいけない。中国は、自分たちがなぜここまで発展することができたかということに思いを馳せ、日本や米国をはじめとする貿易相手国に対して感謝し、政治的にも自由主義へと舵を切るべきである。(格)

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