2020年8月号記事

大恐慌時代が求めるリーダーとは

新型コロナウィルスの感染拡大で、世界は大混乱に陥っている。

危機の時代を乗り越えるにはどうすべきか。

次の時代を拓くリーダーの条件を探った。

(編集部 山本慧、山本泉)


contents


トランプ大統領、起死回生の大暴れがこれから始まる………本誌p.22

責任回避と見識不足………本誌p.20

独裁者が出やすい時代………本誌p.18

新しい時代の英雄は大恐慌から生まれる………本誌p.27

コロナ不況で社会に不安が広がっている。その空気が別の不幸を生み出す"導火線"となりえる。写真:Pasya/アフロ

独裁者が出やすい時代

新型コロナウィルスの第一波が収束しつつあり、5月末に緊急事態宣言も解除された。今回の対応をめぐり、評判を上げた政治家が何人かいる。

「政府の対応が遅い」と突き、独自の行動を取った東京都の小池百合子知事、大阪府の吉村洋文知事と北海道の鈴木直道知事である。

特に小池氏の支持率は、7割近くに上昇した。その状態で同氏は6月中旬、都知事選への出馬を表明した。

だが冷静にコロナ対策を検証する必要がある。なぜなら危機の時代は、気をつけないと新たな独裁者を生み出す可能性があるからだ。

仕事は見え方と"お化粧"が全て?

コロナ不況と比較されるのが、アメリカの株価暴落をきっかけとした1929年の世界大恐慌だ。 恐慌は主に経済の文脈で語られがちだが、「独裁者が生まれやすい空気」をつくる面もある。

当時、第一次世界大戦に敗れたドイツは、巨額の賠償金に苦しんでいた。ここで登場したのが、ナチス党のヒトラーだった。

ヒトラーは得意の演説で、「大衆を扇動」した。その手法の一つは、誰でも覚えられる同じフレーズを何度も発信すること。

人々の不安の感情を扇動し、理性で考えさせないよう、感性的に訴えかけた。マインドコントロールの一種であるから、たとえ論理が矛盾しても、お構いなく繰り返すのである。

小池氏もその手法に近いことを行っている。

「ロックダウン」「ステイホーム」「ウィズコロナ」など、覚えやすい言葉を繰り返す。また「東京アラート」を発動し、都庁やレインボーブリッジを赤く染めるなどの視覚効果も使い、感性的に人々の心をつかむ。

独特の表現を用いながら、「コロナが怖い」という都民の恐怖心を煽り、「コロナ以外のことを考えさせないように」しているかのようだ。

恐怖に脅える人々も、「全てを決めてくれるような独裁者に巻かれたい気持ちがある」ので、自ずと反応してしまう。

しかし大川隆法・幸福の科学総裁は6月に行った「時事政談」で、この状況を「実際の中身がどうであるかではなくて、『どう見えるか』という見え方・お化粧が全てなのだ、という仕事をしている」と喝破した(関連記事46ページ)。

"習近平化"する小池知事

小池氏の一連の行動は、都知事選に勝つための"パフォーマンス政治"と言えるだろう。その証拠に、休業要請に応じた事業者に協力金を出すため、都の貯金である税制調整基金約1兆円をほぼ使い切ってしまった。

口では「第二波が来る」と警告し続けているが、本気で心配しているのなら、都の貯金を使い切れるわけがない。それでも行ったのは、都知事選に向けたバラまきだと言われても仕方がない。

これは安倍晋三首相にも言えることだが、統制ばかりを繰り返し、やたらとお金をバラまく話に切り替えている状況は、ファシズムの匂いが立ち込めており、「いつの間にか、小池氏も習近平化した」と言わざるを得ない。

「国民(都民)が主権者である」ということをお忘れなのではないだろうか。

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責任回避と見識不足 - 安倍政権

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