イラスト:菊池としを

2020年4月号記事

昼夜逆転 学力低下 人格破壊 ……

「スマホ地獄」から子供を救え!

深刻化する子供のスマートフォンへの依存。

さらなる"地獄"の拡大を防ぐための手立てを探った。

(編集部 飯田知世、長華子、駒井春香)

「僕のパパとママは、スマホがとても大好き。スマホばかりで、たまに僕を忘れる時がある。(中略)だから、僕はスマホになりたい」

シンガポールのある小学生が作文にこう記した。親は自分よりもスマホに関心を向けている、と感じ取っているのだ。

確かに、便利なスマホは生活に欠かせない存在だ。「スマホがない生活なんてありえない」。そう考えている人は、少なくないだろう。

スマホに依存する親に育てられた子供も、当然のようにスマホを欲する。その結果、友達とのSNSやゲームに夢中になり、勉強や部活に身が入らない学生が増加。親がいくら時間やアプリを規制しても、根本的な解決にはならない。

IT先進国であるアメリカでは、廃人状態になる子供もいるなど、事態はさらに深刻だ。

この「スマホ依存地獄」から抜け出す手立てはあるのか。


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Contents

STEP 01 「スマホ依存地獄」の実態…………本誌 p. 32~

STEP 02 「スマホ依存地獄」の仕組み………本誌 p. 34~

STEP 03 「スマホ依存地獄」からの脱出……本誌 p. 38~

STEP 01 実態

若者たちのスマホ依存の実態

取材を進めると、スマホに依存する若者に関する、大人たちの悲鳴が次々と集まった。ここで紹介するのはほんの一例だが、「うちの子も一緒!」と感じる親御さんも多いだろう。

全国の10~29歳の約2割が平日に1日当たり2時間以上オンラインゲームなどをしていることが昨年の調査で分かった(*)。

さらに香川県議会が1月、18歳未満のゲーム時間を「平日は1日60分まで、休日は1日90分まで」とし、ネット夜間使用も時間制約する「ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)素案」を提出。賛否の声が沸き起こっている。

日本でスマホが普及し始めてからおよそ12年。初めてのデジタルデバイスがスマホという「スマホネイティブ世代」も増えている。

「子供がスマホゲームばかりやりたがる」と嘆く保護者は多いが、その子供たちはスマホを手放せないまま、続々と社会人になっている。「仕事のストレスなどからスマホゲームにハマりました。『止めよう』とアプリを消去しても、またダウンロードしてしまって。悪循環を止めるために、一時はガラケーにしたほどです」と、通院により依存を止めた20代男性は語る。

取材を進めると、ゲーム以外にもさまざまな若者の「スマホ依存」が見えてきた。

(*)「ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート結果」。2019年11月、厚生労働省発表。

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スマホといつでも一緒

ゲームやSNSにハマる