《本記事のポイント》

  • ベルリンの壁の崩壊後、民主的体制下で生きる人が増え、富も増大
  • 富裕層を取り除く考えは、暴力肯定型の全体主義体制を生む
  • 米減税論者の若者たちへの教育を日本にも輸入しては?

アメリカの大統領選で際立った特徴がある。それは、サンダース氏やエリザベス・ウォーレン氏を支持する若者たちの多さである。とりわけ1980年から2000年のはじめごろに生まれたミレニアル世代の若者たちにその傾向性が強い。

ギャロップ社の調査によると、ミレニアル世代の若者の58%が社会主義的政策を正しいと考え、10人のうち7人の若者が社会主義的政策を掲げる候補者に投票をする予定だという。

若者の中には、資本主義が貪欲さを生み、人々を虐げているという意識を持っている者も多いという。

忘れるべきではない資本主義の恩恵

だが待ってほしい。資本主義の恩恵を忘れてはいないだろうか。

アメリカのブルッキングス研究所によると、ベルリンの壁が崩壊した1989年以降、世界の貧困層は52%から21%へと減少した。さらに人類史上初めて、約38億人が十分な所得を得て、自分を中流層か富裕層だと考えるようになったという。

それはベルリンの壁崩壊後、民主主義体制下で生きる人が、23億人から41億人へと約2倍になったことにも起因する。

それだけ民主主義体制と富の創出とは連動しているわけだが、残念なことに若い世代は非民主的な体制で生きた経験がない。経験のなさが手伝って、「社会主義」「共産主義」なるものに憧れを抱く若者が増えているのかもしれない。

富裕層を取り除く考えは全体主義的体制を生む

だが思い出してほしいのは、資本家という一階級(一階層)を地上から抹殺することによって、理想郷を築こうとしたのが共産主義だったということだ。この世の害悪の責任を特定の人々に押し付け、そうした人びとを抹殺することによって、ユートピアが実現すると夢想すれば、必ず全体主義へと向かう。

全体主義は、目的実現のためにはいかなる暴力を用いても構わないという暴力肯定型の社会を生む。要するに、中国共産党がチベットやウイグルや内モンゴル、香港に行っていることと同様のことを、「資本家」に対して行うのが共産主義である。

アメリカは反中には目覚めたが、それが全体主義との闘いであることに、十分気づいていないのかもしれない。

対外政策的には「反中」「反共」に目覚めたアメリカ。レーガン政権時も、ソ連を崩壊させることができても、国内の社会主義的傾向を、全面的に方針転換するところまでいかなかった。

若者たちの教育に力を入れるアメリカの減税論者たち

そんな中、アメリカで減税運動に携わる人々は、今後、若者たちに「社会主義・共産主義の実態」を伝える教育を施していくという。たとえば元レーガン政権とトランプ政権の経済政策のアドバイザーのアーサー・ラッファー氏は、小学生向けに『経済学について話そう』という本を発刊し、トランプ政権後、国が左傾化して衰退しないよう備えている。

一方日本は、さらなる消費増税を受け入れる国民風土が広がっており、一部の若者世代のみならず、全世代が社会主義的風潮に流されている。国全体が「貧乏神」に取りつかれている状況だ。いっそのこと、アメリカの若者世代への正しい資本主義に対する教育を輸入してもいいかもしれない。国民全体の啓蒙につながっていくに違いない。

(長華子)

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