2歳児衰弱死で母と交際相手を逮捕 必要なのは児童相談所の増員だけではない

2歳児衰弱死で母と交際相手を逮捕 必要なのは児童相談所の増員だけではない

 

《本記事のポイント》

  • 札幌市で2歳女児が衰弱死し、母親と交際相手が逮捕された
  • 児相と警察の連携不足が問題視されている
  • 孤独なお母さんを支援する地域のつながりが必要

 

札幌市中央区の池田詩梨(ことり)ちゃん(2)が衰弱死し、母親と交際相手の男が逮捕された事件で、児童相談所の対応が問題となっている。

 

死亡時、詩梨ちゃんの身体には広範囲に殴られたようなアザや、タバコを押しつけたような火傷の痕がみられた。司法解剖の結果では、ほとんど食事を与えられていなかったことも明らかになっている。

 

札幌市児童相談所や警察には、「昼夜を問わず、泣き声がすごい」「親が子供を預けっぱなしだが、育児放棄ではないか」などの通報が複数件寄せられていた。

 

しかし児相は、「通報を受けたあと、48時間以内に安全確認ができなかった場合、立ち入り調査する」という「48時間ルール」を守らず、警察が母子と面会するための同行要請も拒否していた。

 

事件を受けて札幌市児相は、今後4年間で児童福祉司や児童心理司など、合わせて26人の職員を増員する方針を示している。

 

 

児相の「人数」が問題なのか?

しかし、人員不足だけが、虐待を放置した理由なのだろうか。

 

今回の事件で児相は、「警察によって安否確認ができたため、油断して判断が鈍った」と説明している。しかし、警察に虐待の有無までを判断させるのは難しい。それこそが児相職員の仕事のはずだ。

 

これは人員不足とは別問題であり、児相のやり方や体質を変えなければ、解決にはならない。「警察との連携方法を検証する」といったアプローチも必要だ。

 

 

誰にも頼れず子育てのやり方もわからなかった母親

さらには、「虐待の発見」のみならず「虐待の予防」という観点も必要だ。

 

逮捕された母親は21歳と若く、出産時は18歳。詩梨ちゃんの父親とは出産前に別れており、1人で子育てをしていたという。

 

産後しばらくはSNSで詩梨ちゃんの写真を「かわいすぎる!」などのコメントとともにアップしていたが、生後4カ月ほどで子供に関する投稿はストップした。同時期から、詩梨ちゃんを24時間預けられる託児施設に預け、歓楽街のススキノで働き始めている。

 

施設のスタッフは詩梨ちゃんの痩せた身体を見て、「家でミルクをもらっていないのでは」と疑っていたと報道されている。また、母親が連絡なしに数日間迎えに来ず、注意されることもあったという。そして保育料を延滞したまま、預けることはなくなった。

 

「ひどい母親だ」「子供を持つ資格がない」と責めることは簡単だ。実際、そうした面もあるだろう。

 

しかし報道からは、頼れる人もおらず、知識もないまま、1人で子育てせざるを得なかった若い母親の惨状が浮かび上がる。詩梨ちゃんが在籍した託児施設の元施設長は、母親を「育て方を知らない幼いお母さん」と評している。さらに母親は、経済的な理由などから、歓楽街で働かざるを得なかったことも、想像に難くない。

 

 

地域のつながりで孤独なお母さんを支援

18歳などではなく、落ち着いた年齢で妊娠・出産した場合でも、夫の仕事が激務であれば頼ることができず、双方の親も遠方に住んでいれば相談もできず、いわゆる"ワンオペ育児"で心身が疲弊すれば、育児ノイローゼやうつ病の診断が下ることもある。

 

インターネット上や育児雑誌などには、泣き止まない子供を揺さぶったり、放置したりしたことがあるというお母さんたちの赤裸々な声があふれている。今回の衰弱死事件は、多くのお母さんたちにとって、以外と"身近な悲劇"なのかもしれない。

 

お母さんたちが孤独を深めている背景には、核家族化や無縁社会化が進んでいることがある。

 

虐待を予防するためには、失われつつある地域のつながりを取り戻し、相談や声かけがしやすい環境をつくっていくことが求められる。

 

詩梨ちゃんの泣き声を聞きながら、なかなか通報できなかった近所の住人や、詩梨ちゃんのやせ細った身体に育児放棄を疑っていた保育士は、マスコミの取材に「もっと早く児相に連絡していれば、助かったかもしれない」と、自責の念を吐露している。

 

隣近所や医療、教育、NPOなど、さまざまな地域の機関が連携し、児相や警察と今以上に協力し合うことで、虐待から子供を救える可能性が高まる。今こそ、1人ひとりのつながりを大切にすべきだ。

 

発売中の本誌7月号では、「虐待死をなくす4つの方法 児童虐待から『親子』を救う」として、虐待を止めるための児相のあり方や、地域のつながりによる支援、そして虐待をしないための心のレッスンなど、さまざまな提案を行っている。

(駒井春香)

 

【関連書籍】

ザ・リバティ2019年7月号』(幸福の科学出版刊)

 

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2019年7月号 虐待死をなくす4つの方法 児童虐待から「親子」を救う

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2019年6月14日付本欄 子供の虐待を防ぐために多くの機関の連携を 神奈川NPO「つなっぐ」公開講座 (前編)

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2019年3月10日付本欄 虐待や家庭内暴力の解決には「信仰心」による調和が不可欠

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タグ: 逮捕  児童相談所  警察  虐待  

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