「メルケル後」のドイツとEUの未来 ─ナチスの過去と決別する方法 - 編集長コラム

「メルケル後」のドイツとEUの未来 ─ナチスの過去と決別する方法 - 編集長コラム

写真:ロイター/アフロ

 

2018年12月号記事

 

編集長コラム Monthly  Column

 

「メルケル後」のドイツとEUの未来

──ナチスの過去と決別する方法

 

 10月に行われたドイツ南部バイエルン州での州議会選で、メルケル首相率いる保守与党キリスト教社会同盟(CSU)が大敗し、13年に及ぶ長期政権が危機に立たされている。

 2015年以降、中東などからの大量の移民・難民受け入れ政策に対する反発が強まり、メルケル内閣の支持率は急落していた。

 また、ドイツの最大の貿易相手国は中国で、独産業界は中国市場で稼ぐことに夢中になっているが、アメリカのトランプ大統領は、中国との「貿易戦争」を始め、メルケル氏との対立が深まっている。

 一方、EUはイギリスの離脱まで半年を切ったが、離脱条件をめぐる交渉は進んでおらず、合意のない大混乱の中での"離婚"となる可能性が高まっている。

 

 

「後悔、もう十分」

 大きく揺れるドイツとEU―。この中で大川隆法・幸福の科学総裁は10月7日、独ベルリンで英語説法「Love for the Future」を行った。

ドイツの皆様はユダヤ人に関して深い後悔の念をお持ちです。それは存じ上げていますが、もう十分です」「もっと明るく輝く未来を築く道を選んでください」(日本語訳、以下同)

「(中国と)貿易をしてお金を稼ぐうえで彼らに親切にするのは構いませんが、彼らに言っていただきたいのです。『民主的であってください。人々に自由を与えてください。神への信仰ある人々を殺さないでください』と言ってください

 ドイツ国民とヨーロッパ各国から集まった人々に、ドイツ、そしてEUの未来を指し示した。

 ドイツ人は戦後70年以上経った今もナチスのユダヤ人虐殺に対する贖罪意識が強い。メルケル氏らが熱心に移民・難民を受け入れる理由の一つも罪の意識からとされる。EUや通貨統合自体、冷戦後に東西ドイツが統合し、強大化を恐れたフランスなどがドイツを縛りつけるために賛成したという経緯もある。

 ヒトラーやナチスの歴史とまだ決別できていないということだろう。大川総裁は、過去に縛られたままでは未来は開けないと訴えたのだった。

 

 

ナチスは独の歴史が生んだ?

ドイツ・ニュルンベルクでのナチスの大会で演説を行うヒトラー。写真:Everett Collection/アフロ

 ナチスの問題がなぜ起こったかは、古代からのドイツの歴史とも深く結びついている。

 (1)ローマ帝国(紀元前27年~紀元395年)に支配される以前のドイツ(ゲルマニア)は、ゲルマンの民族神を信仰していた。その信仰は、キリスト教が伝わってからは呪術的な黒魔術として生き残った。ヒトラーは黒魔術に精通しており、幸福の科学のリーディングでは、加えて悪魔の影響も判明している。

 (2)16世紀のルターによる宗教改革は、「万人司祭主義」の理念を打ち立て、プロテスタント派の教会を生み出した。ただ、その改革でも足りない部分があったようだ。後に経営学者ドラッカーは「キリスト教は個人の人間の絶望に対しては答えを出すことができたが、大衆の絶望に対しては答えられなかった」として、ナチスの全体主義が生まれる原因になったと指摘した。

 つまり、キリスト教は「個人の救済」はできても「社会全体の救済」まではできなかったというわけだ。第一次大戦に敗れたドイツ国民は、社会全体の救済を説いていたマルクス主義にも失望し、全体主義に傾倒していった。

 

 

ドイツの強みが弱みに

 もともとはドイツの"強み"だったものが"弱み"に転じ、ナチスとなってしまった逆説の歴史がうかがえる。

 (3)18~19世紀に隆盛を誇ったドイツの哲学もそうかもしれない。

 カントやヘーゲルらが築いた観念論哲学は、「人間が神になろうとする思想」と言われ、人間が修行して仏の心境に近づく仏教に近いものだった。しかしそれを「すぐに神になれる」と極端に歪めて解釈するニーチェ(1844~1900年)の「超人思想」が登場する。ニーチェは、神になり代わってユダヤ民族に裁きを下すことを唱え、後のヒトラーのユダヤ人排斥の下地となった。

 

 

「人種間の憎しみの世紀」

 ただ、歴史上の失敗から十分学んで、国として再出発することもできる。

 (1)ヒトラーには黒魔術や悪魔の影響があったわけだが、その負の遺産をどう乗り越えるか。大川総裁はドイツでの説法でこう指摘した。

20世紀は戦争の世紀でしたが、別の意味では人種間の憎しみの世紀でもありました。そのことをよく学んでおかなければなりません

 ヒトラーが人種差別の"お手本"にしたのはアメリカで、同国は南北戦争の1861年時点で400万人の黒人奴隷を使い、その100年後まで差別政策は続いた。500年にわたる欧米による人種差別と植民地支配によって、2億人以上が殺されたという説もある。

 アメリカにもドイツ周辺の国々にも悪魔的な影響があったと考えるしかない。反省すべきは欧米全体の人種差別政策であって、70年以上謝り続けてきたドイツはもう次のステップに進むべきだろう。

 

 

ヒトラーの功罪を分ける

 (3)で触れたニーチェの「超人思想」を実行に移すかのようにヒトラーは、「神のごとく一人で何でもできる」独裁者となった。それは経済政策の枠内ではうまくいった。政権獲得後、アウトバーン(高速道路)の建設など公共投資を積極的に行い、第一次大戦の敗戦からの復興を一気に成し遂げた。

 しかし軍事的には、東にも西にも戦線を広げすぎ、ドイツ軍組織の破たんを招いた。

 ドラッカーが戦後、ヒトラーの失敗に学び、「カリスマを警戒せよ」と説き、マネジメントができる優れた人材をたくさん育てて組織を運営する経営学を生み出した。その意味でヒトラーの組織指導者としての失敗は、もう過去のものとしていい。

 ドイツが緊縮財政に極端にこだわるのも、一つにはヒトラーの積極財政への反動が大きいためだ。しかしヒトラーの経済政策は世界で最も機能した。

 ヒトラーの功と罪を分けて考えることで、国として前に進むことができるのではないか。

 

 

全体主義をどう防ぐか

 (2)の全体主義をどう防ぐかについては、人類として答えが十分出せていないかもしれない。

 全体主義は、ソ連や中国、北朝鮮など共産主義国もそうだが、基本的には民主主義から生まれてくる。大衆迎合政治(ポピュリズム)、衆愚政治、さらに全体主義へと転落するプロセスをとる。日本にもその兆候はあるし、韓国は文在寅政権下で全体主義直前まできている。

 ナチスの統治を経験した哲学者アーレントは戦後、全体主義を防ぐ方法を考え続けた。そしてギリシャの民主政にあこがれ、「複数性」や「自由の創設」を提唱した。

 これらの考え方は宗教的に説明したほうが分かりやすい。神は人間を一人ひとり違う存在として創造し、一人ひとり異なる人生修行を見守っているというのが「複数性」。そういう千差万別の人々が政治参加し、自分たちの未来を自分たちの手で拓いていくことが「自由の創設」だ。

 ギリシャの民主政では、参加者がみな神々への信仰を持ち、神の理想実現を目指していた。ドラッカーは、キリスト教が「社会全体の救済」をできなかったため全体主義が生まれたとしたが、アーレントの問題意識にもドラッカーと同じように神の視点があったといえる。

 

 

ナチスはドイツの歴史から生まれた?

  • 1. キリスト教に敗れたゲルマン民族信仰 (→黒魔術)
  • 2. キリスト教の救済力の限界から全体主義が出現
  • 3. ニーチェの超人思想をヒトラーが体現

     ↓

ナチスの過去を決別する視点

  • 1. 500年間、欧米は人種差別を続けてきた
  • 2. 全体主義を防ぐ「複数性」「自由の創設」
  • 3. 経済政策は機能したが、軍のマネジメントは破たん

 

 

「利自即利他」の国際関係

 大川総裁はドイツでの法話で、ヒトラーやナチスの人々について、「彼らの罪は毎年毎年、軽くなってきています」と述べた。

 ヒトラーは幸福の科学のリーディングで地獄の悪魔となっていることが分かっているが、それが近年、許されてきている部分もあることを明らかにした。

 その理由の一つに、ナチスの問題について(1)~(3)で述べたような内容を幸福の科学が日本や海外で啓蒙していることがある。

 ドイツだけを責めるのは「もう十分」となると、ドイツの国際社会での位置づけが変わってくる。

 ナチス・ドイツは他国を犠牲にし、自国のみの繁栄を築いた。その反省がいきすぎて、現代のドイツは国境をなくしてEUをつくり、移民・難民を大量に受け入れている。ドイツが罪の意識から解放されるならば、ドイツとしての誇りや愛国心、主権を取り戻し、同時に他国を犠牲にしない国際関係がつくれるのではないだろうか。

 宗教的に言えば、自分も他人も犠牲にしない「利自即利他」の関係だ。具体的には、EUを維持するよりも解消する道を選び、ドイツがその国力で他国を助けながら共存共栄する関係をつくるほうが望ましいだろう。

 

ベルリンのブランデンブルク門の南につくられた「虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」(通称:ホロコースト記念碑)。写真:joyt / PIXTA(ピクスタ)

 

 

「輝く未来」への3つの道

 現在、他国を犠牲にしながら自国の繁栄を築いているのが中国だ。ドイツは中国との貿易で最も稼いでいる国の一つだが、一方で中国は政府系の企業を通じてドイツの銀行やメーカーの株主となり、ドイツやEUの経済を支配しようとしている。

 大川総裁はドイツでの説法で中国国内のキリスト教徒やイスラム教徒などへの弾圧に触れながら、本欄冒頭のように、中国が「自由・民主・信仰」の価値を受け入れるよう、ドイツが強く主張することを求めた。

 また、大川総裁は「習近平(国家主席)は神をまったく信じていません」として、その神を信じない国が引き起こそうとしている「第三次世界大戦を止めなければなりません」と訴えた。

 ドイツとヨーロッパの「もっと明るく輝く未来」は、(1)ナチスの過去を乗り越え、(2)EUを解消し、(3)中国にもの申す―ことの先にあるといえる。

 

 

メルケルの世界平和の理想

 ただ、政権基盤が弱まっているメルケル首相が、これから大きな方向転換をするのは難しいだろう。それはメルケル氏の魂の傾向性からもいえる。

 9月に大川総裁によって行われたメルケル氏の守護霊霊言では、メルケル氏が18世紀の哲学者カントの生まれ変わりだという衝撃の内容が明らかになった。カントは、常備軍の廃止や世界共和国によって将来的に世界平和を実現することを提唱した。同氏の守護霊(カント)は「EUは第一段階で、次の段階は世界的組織です」と述べ、世界平和の理想を語った。

 霊言の収録後、大川総裁は「志はよし。ただ、実際はまだまだ難しいところがある」として、理想と現実のギャップは大きいと解説した。

 

 

メルケルとトランプの「哲学」

 メルケル氏と真っ向から対立するトランプ氏は、アプローチが180度違う。カントは「道徳的な国家」間の理想を語るが、現実には「悪魔的な国」が存在する。トランプ氏は世界支配を目指す中国の共産主義体制を倒すまで突き進む勢いだ。

 ドイツやEUに対しては、各国が愛国心と主権を取り戻し、EUを事実上解体し、中国との関係を見直せと言っているので、先に述べた(1)~(3)に近い。両氏の対決はトランプ氏にやや分がありそうだ。

 ただ、国際政治学の中に二人を位置づけ直した場合、メルケル氏がリベラリズム(理想主義)、トランプ氏がリアリズム(現実主義)を体現していると見ることもできる。その意味で二人の「哲学」の対決は学問的に重要で、この対立構造から新しい国際政治のあり方が生まれてくるだろう。

(綾織次郎)

 

写真:AP/アフロ

 

INFO

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