中国に「ブチ切れ」 ペンス米副大統領スピーチに見る、対中戦略の転換

中国に「ブチ切れ」 ペンス米副大統領スピーチに見る、対中戦略の転換

画像は、ハドソン研究所ホームページの動画から。

 

《本記事のポイント》

  • ペンス米副大統領が、「中国が自国民を弾圧し、覇権主義を強めている」と批判
  • 中国政府が、アメリカ国内のトランプ支持率を落とそうとしていると指摘
  • 日本は、アメリカの対中政策の転換に後れを取らないよう注意が必要

 

トランプ政権が、対中政策の転換を公式に宣言した。

 

ペンス副大統領はこのほど、米ハドソン研究所でスピーチを行い、中国政府を強く批判。ホワイトハウスの公式ホームページは、「ペンス副大統領による、政権の対中国政策についての発言」として、このスピーチを全文掲載し、政権の公式見解であることを示した。

 

ペンス氏は、スピーチの冒頭で「トランプ大統領は、政権誕生の当初から、中国と中国の習近平国家主席との関係を優先させてきた」とした上で、このように断じた。

 

「しかし、私が本日あなた方の前に訪れたのは、アメリカ国民は知る資格があるからです。私たちが話しているように、中国政府は、その影響力を高め、アメリカでの利益を得るため、政治的、経済的、軍事的な手段やプロパガンダを使って、政府一体の取り組みを行っているということを」

 

中国の悪行を具体的に挙げ、トランプ政権の対中政策が大きく転換したことを示した。

 

 

アメリカの投資で覇権を拡大

まず指摘したのが、中国が経済力によって覇権を拡大してきた歴史だ。

 

中国がアメリカに次ぐ経済力を持つに至ったのは、アメリカの歴代政権が世界貿易機関(WTO)への加盟を後押しするなど中国の経済自由化を進めてきたため。経済の自由化によって政治的な自由も拡大することが期待されたが、ペンス氏は「希望が満たされることはなかった」と評し、こう述べた。

 

「過去17年間で、中国のGDPは9倍になり、世界第二の経済大国になった。この成功の大部分が、アメリカの中国投資によってもたらされた。また、中国共産党は、ほんの数例を挙げるだけでも、関税、割り当て、為替操作、強制的な技術移転、知的財産窃盗、およびキャンディーのように与えられる工場への補助金を含む、自由かつ公平な貿易と矛盾する政策の武器を使用してきた。(中略)現在中国は、『中国 2025』計画を通じて、ロボット工学、バイオテクノロジー、人工知能など、世界で最先端の産業の90%を管理することを目指している」

 

さらにペンス氏は、盗用された技術が軍事にも転用されていると指摘。尖閣諸島周辺や南シナ海で軍事拡張を続ける中国政府に対して、「我々は、恐れをなすことも、引き下がることもない」と喝破した。

 

 

自由が許されない中国国民

中国を批判する理由は、アメリカの国益を守るためだけではない。

 

中国政府は、インターネット情報検閲システム「グレート・ファイアウォール」や、国民を格付けする社会信用システムなどによって、自国民への監視体制を強めている。さらに、地下教会を破壊したり、仏教徒であるチベット民族やイスラム教徒であるウイグル民族を弾圧したりするなど、公然と宗教弾圧を行っている。

 

ペンス氏は、国民の自由を奪う中国政府を糾弾。「しかし、歴史が証明するように、自国民を圧迫する国がそこで留まることはほとんどない。中国政府はまた、より広い世界に触手を伸ばすことを目指している」として、中国政府が「債務外交」によって、諸外国への影響力を強めていると指摘した。

 

例えば、スリランカは昨年、中国の援助で建設した港の建設ローンを支払えず、運営権を中国に引き渡した。2年先には国家が破綻すると言われているベネズエラに対しても、中国政府は石油供給を見返りに500億ドル以上の融資を行い、影響力を強めている。

 

 

中国はトランプ大統領を辞めさせたい

ペンス氏は中国の悪行を列挙した上で、アメリカが抱える最大の懸念を明らかにした。

 

「本日私は、中国の行動について知っていることをお伝えしたいと思います。そのうちのいくつかは情報機関によって集められたものであり、その一部は一般公開されています。しかし、すべてが事実です」

 

「中国共産党は、アメリカのビジネス界や映画スタジオ、大学やシンクタンク、学者やジャーナリスト、そして地方、州、連邦当局者に対して、報酬を提供したり、もしくは強要したりしています。最悪なことに、中国はアメリカの世論、2018年の中間選挙、そして2020年の大統領選挙につながる環境に影響を与えるために、かつてないほど力を入れ始めたのです。はっきり言えば、トランプ大統領のリーダーシップがうまくいっているので、中国は別のアメリカ大統領を求めているということです」

 

実際に、中国高官が、トランプ政権による中国製品への関税を批判するようアメリカのビジネスリーダーたちに働きかけたり、中国政府が、アメリカの新聞にトランプ政権の貿易政策を批判する補足ページを差し入れようとしたりするなど、間接的および直接的にトランプ政権の支持率を下げようとしている。

 

さらに、ハリウッドなどの芸能界や、大学をはじめとする学問の世界に対しても、中国政府の意図に反する内容を発信しないよう圧力をかけるなど、アメリカ国内での影響力を強めているというのだ。

 

 

日中友好ムードを高めたい安倍首相は注意が必要

今回のスピーチは、中国が自由や民主主義といった概念を理解していないことを糾弾し、トランプ政権が、本格的に中国の覇権拡大にストップをかけようとしていることを明らかにしたもの。日本ではほとんど報じられていないが、アメリカの対中政策の転換を示す衝撃的な内容だ。

 

一方、安倍晋三首相は、今月下旬に訪中し、習主席と首脳会談を行い、「日中平和友好条約」40周年の節目に友好ムードを高めたい考え。しかし、国際情勢の展望を読み違えることがないよう、中国との距離の取り方には注意が必要だろう。

(片岡眞有子)

 

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タグ: ペンス米副大統領  中国  覇権  ハドソン研究所  自由  民主主義  

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