向田美保さんが撮影した写真。メッセージをつける場合は、感謝や応援の思いを込める。

8月23~26日にかけて、山口県山口市の菜香亭市民ギャラリーにて、「第5回ふたりっこ制作展」が開かれる(観覧無料)。制作展には、画家・向田秀敏さんの絵画とカメラマン・向田美保さんの写真が展示されている。

制作展に込めた思いについて、向田美保さんに話を聞いた。

──美保さんは、父・秀敏さんと2人で「ふたりっこ制作展」を続けています。制作展は、どのような経緯で始めたのでしょうか。

向田美保さん(以下、向): この制作展は、今年で5年目になります。父は絵を趣味で描いていて、グラフィックデザイン会社を自営していたのですが、心臓病を患ったために辞職しました。「父には絵の才能がある。私も写真を撮っているけれど、1人では自信がない。2人ならやれる」と思い、父とともに制作展を始めました。

私が写真の撮影を始めたきっかけは、交通事故です。中学生のころ、交通事故に遭い、1カ月近く意識不明の重体に陥りました。奇跡的に一命を取りとめましたが、小学校で学んだ内容を忘れたり、少し前の出来事すら思い出せなかったりと、記憶障害の後遺症に悩まされました。毎日の出来事を記録するために、写真を撮るようになったのです。

両親に、幸福の科学の「苦しみにも意味がある」「人にはそれぞれの使命がある」という教えを教えてもらい、勇気づけられながら、リハビリに励みました。元気になった今は、「人のために写真を撮りたい」という気持ちが強く、フリーのカメラマンを目指しています。

企業に所属するカメラマンだと、人や物が美しく見えるようにセッティングして、スタジオや写真館などで撮影するのが仕事になります。私は「ありのままで美しい世界」を撮りたいと思っているので、フリーのカメラマンになって、その思いを貫きたいと考えています。

魂の本来の美しさを引き出す

──写真を撮る時は、どのような思いで撮っていますか。

向: 「自我を出さない」ことを大切にしています。「見えているものの美しさや素晴らしさが、このカメラを通じて最大限に出ますように。写真を見た方がハッピーな気持ちになりますように」という思いで、写真を撮るようにしています。

「美」にもいろいろあると思いますが、例えば人物を撮るのであれば、「その人が持つ個性や魂の本来の美しさを引き出したい」という気持ちで撮ります。花や木、雲などの自然を撮る場合は、「撮ってほしい」という"自然の声"のようなものを感じることもあります。以前、ひまわり畑を撮っていると、1本のひまわりが楽しそうに、「こっちを撮って」と話しかけてきたように感じたこともありました。

向田さんの撮った写真

心が波立っている時は、撮らないようにしています。写真を通して、心の状態が筒抜けだからです。「自分の技術を見てほしい」という自我の思いが感じられる写真も結構あり、見ていると「痛い」と感じることもあります。

──写真から、撮った人の思いが感じられるのですね。今後、写真を通してどんな活動をしていきたいとお考えでしょうか。

向: 交通事故の後遺症で苦しんでいた時、写真に元気をもらいました。ですから、私は「芸術を医療に届ける懸け橋になりたい」と考えています。病気で苦しんでおられる方に、芸術を見て、心を癒していただきたいです。

私は、交通事故で意識不明になっていた間に、あの世の世界を見てきました。また、記憶にはないのですが、事故に遭ってすぐ、私は突然、「この事故は宿命だった」と語り始めたそうです。私の口を通して、"私でない誰か"が語ったとしか思えません。

私は数年前、幸福の科学の研修で、「これをするために生まれてきた」というビジョンを見たことがあります(下の絵参照)。そうしたことは初めてだったので、「きっと私の使命なのだ」と感じました。「光の美術館」という塔が、老人ホーム、病院、障害者施設と橋でつながっているビジョンでした。「芸術と医療の懸け橋になる」ということを表しているのだと思います。

向田さんが見た「光の美術館」のビジョン。絵を描いたのは、父・秀敏さん

私は交通事故の後、担当医師に「普通の生活には戻れない。病院に一生通い続けなければいけない」と言われています。両親が「そんなことは信じない」と言いきかせてくれたおかげで、実際に元気になりましたが、病気に苦しみ続ける方もたくさんいます。

病院に芸術があれば、心が癒され、救われる方も数多くいると思います。先日、芸術を取り入れている病院に、写真を展示していただけることになりました。私は写真で救われたため、写真を通して人を救う活動をしていきたいです。

(聞き手:山本泉)

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幸福の科学出版 『ザ・ヒーリングパワー』 大川隆法著

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