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《本記事のポイント》

  • 米世論調査で7割以上が「SNSは政治思想を検閲している」と回答
  • フェイスブックやツイッターの幹部が保守層の信用回復を試みている?
  • 国民の問題意識が大手IT企業による検閲を防ぐ

アメリカ国内で、フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアへの懸念が高まっている。

米調査機関「ピュー・リサーチ・センター」がこのほど発表した調査によると、調査対象となったアメリカ市民のうち72%が、「ソーシャルメディアは、自らが好ましくないと判断した政治思想を意図的に検閲している」と答えた。アメリカの成人約4600人を対象に5月から6月にかけて実施された調査だ。

さらに、対象者の43%が「大手IT企業がリベラルの見解を支持している」と回答。一方、「大手IT企業が保守の見解を支持している」と答えた人は11%だった。

「我々が左派に大きく偏っているのは明らかだ」

大手IT企業の政治思想を反映し、ソーシャルメディアが検閲を行っている――。そんなことが起こり得るのかと、懐疑的に思う人もいるだろう。

しかし実際、ツイッターのCEOを務めるジャック・ドーシー氏は6月、社員へのメモで「我々が左派に大きく偏っているのは明らかだ。我々は皆バイアスを有している」「それは、私自身や役員会、会社全体を含む」と述べている。また、本誌8月号でも指摘したように、フェイスブックの元社員は保守的なニュース記事の掲載を抑えていたことを認めている( https://the-liberty.com/article/14595/ )。

知らず知らずのうち、保守的な言論が社会から排除されつつある。

フェイスブックやツイッターが米保守と面会

大手IT企業に洗脳されないためにはどうすべきか。第一に求められるのが、国民の問題意識だと言える。

米紙ワシントン・ポストがこのほど報じたところによると、フェイスブックのリーダーやツイッターの幹部が、共和党リーダーや保守メディアの論客などと面会したという。言論にバイアスをかけているとして失った、保守からの信頼を取り戻そうという試みのようだ。

アメリカの保守層が、言論検閲に対して何ら異議の声を上げなかったとすれば、こうしたことも起こらなかっただろう。広く国民が問題意識を持つことが、大手IT企業による不当な検閲を防ぐことにつながる。

それとともに、EUが導入している個人情報保護のための法律GDPR(一般データ保護規制)を日本でも施行し、情報を使って商売をする上での「約束事」を定める必要がある。民主主義の根幹を守るためにも、大手IT企業による情報統制は防がねばならない。

(片岡眞有子)

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