米ウォール・ストリートに立つジョージ・ワシントン像とともに写る池村聡さん。

《本記事のポイント》

  • 全てのアメリカ人が反トランプデモを支持しているわけではない
  • 移民が多いロサンゼルスの人々の葛藤
  • リベラルなメディアが敗れる!?

日本のマスコミは、トランプ米大統領について批判的な報道を続けており、国内では、「アメリカでは反トランプの声が満ちている」とのイメージが広がっている。現地の人々は実際のところ、トランプ政権についてどう考えているのだろうか。

編集部は、アメリカに語学留学中の大学4年生、池村聡さんに話を聞いた。日本のマスコミが報じない現地の声とは――。

反トランプデモの参加者は"マイノリティ"

「保守派のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙ですら、トランプ大統領を批判する記事が目立ちます。ただ、周りの人々を見ると、実際は『トランプ大統領を支持している人は多い』と感じています」

池村さんは、「反トランプ一色」に傾く日本のマスコミの言論について、こう疑問を呈す。

トランプ政権誕生から100日を迎えた4月下旬、大規模な反トランプデモが全米で行われた。この抗議デモについて、池村さんは次のように語る。

「私は、首都ワシントンで行われたトランプ大統領の就任式に参加し、1月にはニューヨークで、『トランプ政権は富裕層のための政権だ』『マイノリティを攻撃するな』『地球温暖化はでっち上げではない』などと訴える抗議デモを目撃しました。それを見て、『アメリカの貧乏神が現れているな』と感じました。

デモは、オバマ前政権を支持していた人たちが中心になって行われています。こうした人たちは、国を貧しい方向に向かわせる左翼的な考えが強く、貧乏神を引き寄せているかのようです。

そもそも、デモは"マイノリティの声"という感じが強く、全てのアメリカ人が彼らの声を支持しているわけではありません。民主党支持者が多いニューヨークですら、本音では『アメリカを取り戻したい』と考えている人も多いと感じます」

本心では、トランプ政権の政策をいいと感じていてはいても、それを表に出さない、日本的な「本音と建て前」が、アメリカ人にもあるようだ。

移民が多いロサンゼルスの現状

池村さんは、カリフォルニア州ロサンゼルスの語学学校に通っている。ロサンゼルスは、ハリウッドや高級住宅街のビバリーヒルズがある、全米第2位の人口を有する大都市だ。

またロサンゼルスは、メキシコとの距離が近く、車で約3時間しかかからない。そのため移民率も高く、カリフォルニア州の人口のうち、なんと半分近くが、移民あるいは移民の子供が占める。

移民人口のうち、メキシコなどのラテンアメリカの移民が約50%で、次に中国などアジアからの移民が約40%を占めている(「Public Policy Institute of California 2017」より)。まさに「人種のるつぼ」だ。

そうした移民の存在により、アメリカの繁栄は支えられてきたわけだが、トランプ大統領は"不法"移民の取り締まりを強化している。池村さんの通う語学学校にも南米出身の学生がたくさんおり、池村さん自身も日本の留学生であるため、複雑な心境にあるという。

「彼ら全てが悪いわけではないですし、生活もあります。不法移民を取り締まるという結論は正しいとは思いますが、現実として難しい問題であるのも事実です」

ロサンゼルスは伝統的な民主党の支持基盤であり、トランプ支持を表明すると、奇異な目で見られてしまう。それでも、トランプ大統領の熱狂的なファンは多く存在しており、池村さんは「彼は史上最高の大統領になる」と熱っぽく語る人に何人も出会ったと語る。

リベラルなメディアが敗れる!?

また、トランプ大統領とメディアとの戦いが熾烈を極めている。

多くのメディアは、トランプ政権のネガティブキャンペーンを連日続ける一方で、トランプ大統領は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙やCNNなどを「フェイクニュース」「アメリカ国民の敵」などと非難している。

それについて、池村さんは「メディア革命が進んでいる」ことを体感しているという。

「WSJに面白い記事を発見しました。『リベラルな考えや報道はおかしいと思うから、トランプ大統領は正しい』と考える人が増えているというものでした。例えば日本でいうと、『朝日新聞の主張の反対を考えればいい』というイメージです。

実際、メディアに嫌気がさし、信頼していない人は多いです。私は、メディアは今後、淘汰され、リベラルなメディアの影響力がなくなり、トランプ大統領を支持する人の影響力が増していくと思います」

トランプ大統領の登場により、価値観のゆらぎという「メディア革命」が起きつつある。こうした価値観をめぐる対立は、就任から1年ぐらいは続いていくだろう。トランプ政権の評価が定まるには、もうしばらく先になりそうだ。(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『トランプ新大統領で世界はこう動く』 大川隆法著

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