中国の習近平政権が、すべての公務員の腐敗行為を取り締まる、新しい国家機関「国家監察委員会」を2018年3月に創設する方針であることを、3日付朝日新聞が報じた。

習政権は、これまでにも共産党の中央規律検査委員会などの組織を使って汚職・腐敗の撲滅を取り締まってきた。だが、規律委の主な仕事は、党の高官を摘発すること。

新しい国家監察委は、対象を共産党員に限らず、各省庁や地方政府などの行政機関のほか、司法機関や学校、病院などあらゆる公的機関で働く公務員に対し、汚職や権力の乱用に目を光らせる。政府から独立し、政府と同格という強い権限を持つ。

「汚職は中国の伝統的システム」

中国の汚職の状況について、評論家の黄文雄氏は、石平氏との共著『「トランプ大統領」から始まる中国大乱』(徳間書店)の中でこう指摘している。

「汚職は中国の伝統的社会文化システムですから、これを潰すということは、中国が機能しなくなるということでもあります。(中略)2014年6月から2年間で処分された共産党員は20万人を超えるといわれています。汚職をしなくても、贅沢をするだけでも処分されるのですから、共産党員や軍事はたまったものではない」

こうした締め付けを8800万人の共産党員以外にも行おうとする習氏の動きからは、一種の焦りがうかがえる。

それもそのはず、今月20日に新しいアメリカ大統領に就任するドナルド・トランプ氏は、就任初日に、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱し、中国を為替操作国として認定し、中国からの輸入品に45%の関税をかけると公言している。

これをやられてしまえば、ただでさえボロボロの中国経済は、さらに大きなダメージを受ける。こうした近未来を見据えて、習氏は国内の引き締めを図っているのだろう。

「このままでは五年以内にアジアで大きな軍事衝突」

ただ、トランプ氏の荒療治によって、国際社会はさまざまな"好転反応"に耐える必要になりそうだ。

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『繁栄への決断』で、こう指摘する。

今のままであれば、おそらく五年以内に、アジアで大きな軍事的衝突が起きるでしょう。はっきり言えば、これは、トランプ氏の登場と軌を一にして起きることです。左翼的なマスコミからすると、時代が悪くなるように見えるかもしれません。

しかし、もっと長い目で見たならば、これもまた『創造的破壊になる』と思います。日本は今、アメリカと共に、もう一度、国力の立て直しを図り、世界の中心軸がどこにあるかを明確に示さねばなりません

「新しい時代の、新しい選択」

今年の秋には、5年に一度の党大会が開かれ、習政権が2期目に突入する。すでに、胡錦濤派(共青団)や江沢民派(上海閥)といった政敵を潰し、政権基盤を盤石にする動きも見せており、国内外に強硬な姿勢で臨む危険性も指摘されている。

今後、中国は、金融面における「カントリー・リスク」にとどまらず、国際社会における軍事的脅威そのものになりかねない。

冒頭の記事は、中国ではさまざまな経済活動や行政手続きの際に賄賂が横行しており、「中国に展開する日本企業や駐在邦人にも影響が出る可能性がある」としている。

そうしたリスクに対して、日本の政府、企業、個人は、現状維持を決め込んではならない。いま日本人は、政治や経済などあらゆる分野で、「新しい時代の、新しい選択」を迫られている。

(山下格史)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『繁栄への決断 ~「トランプ革命」と日本の「新しい選択」』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1785

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