アルゼンチン中間選挙でミレイ氏率いる与党が予想外の「大勝」 ─ 社会福祉拡大路線に嫌気がさした国民が「小さな政府」に希望を託す

2025.10.28

《ニュース》

26日に実施されたアルゼンチンの中間選挙で、ミレイ大統領率いる与党「自由前進」が、苦戦するという事前の予想を裏切り、上下両院で合計約41%の得票率を獲得して大勝し、最大野党「正義党(ペロン党)」の約32%を大きく上回りました。

《詳細》

今回の中間選挙は、大幅な議席改選(上院の半数、下院の3分の1)を伴い、政権発足から約2年の節目を迎えたミレイ政権の中間評価として位置づけられていました。

8月末に同氏の妹の汚職疑惑が浮上したことで、50%を超えていた支持率が39%に急落し、中間選挙の前哨戦である9月のブエノスアイレス州議会選挙では野党・ペロン党に敗北を喫したことで、中間選挙での与党勝利が危ぶまれていました(関連記事:「ミレイ大統領、頑張れ! 10月の中間選挙で与党勝利が「微妙」と予想も、アルゼンチンの「復活」には彼が必要」)。

しかし多くの予想に反して、上院で改選24議席中13議席、下院で改選127議席中64議席を獲得し、大きく躍進を果たしました(選挙前は上院72議席中7議席、下院257議席中37議席だった)。

ミレイ氏は2023年12月に就任して以来、長年の左翼政権により崩壊寸前だった国家を立て直すべく、反対勢力の猛攻に遭いながらも「政府支出の大幅削減」と「大胆な規制緩和」を断行。約2年間で連邦政府支出を約30%削減し、政府職員の約15%に相当する約5万5000人の公務員を解雇。省庁の数を18から8に削減することで、「増税に頼らない財政黒字化」を達成しました。

その結果、前年同期比300%近くに達していたインフレ率は30%程度にまで改善し、50%を超えていた貧困率は2025年上半期には31.6%へ低下。2025年のGDP成長率は4.5%になることが予想されています。

中間選挙で大勝したミレイ氏は、議会が可決した法案に拒否権を発動し、その拒否権が覆されないために必要な議席数を確保したことで、「小さな政府」路線をさらに加速させ、2027年の大統領選挙での「再選」も期待されています。

ミレイ氏は今後、20の税金を廃止し、全体の税率を引き下げる税制の抜本改革や、年金の支給額削減を含む改革に乗り出す予定です。

与党の勝利により、株価・国債・通貨ともに大幅に上昇する「トリプル高」となりました。アルゼンチンの建築業界団体は選挙結果を受け、ミレイ氏が進めてきた「安定、成長、そして民主主義の尊重への道筋を確固たるものにしたいという社会の願いを反映している」と表明。食品業界団体は「生産、雇用、輸出を強化する事業の安定性や競争力を強化する絶好の機会だ」と声明を発表するなど、国内の経済界からも期待の声が高まっています。

与党の勝利には、トランプ米大統領が、ミレイ氏が中間選挙で勝った場合に限り、アルゼンチンに最大400億ドルの支援を提供すると発信していたことも追い風となりましたが、アルゼンチン国民の多くが、民間の自由を拡大する「小さな政府」路線を支持していることを表しています。

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タグ: 支持率  規制緩和  中間選挙  自由主義者  年金  税金  ミレイ大統領  アルゼンチン  インフレ  補助金 

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