釈量子の宗教立国への道 [第17回] ─ マスコミ権力へのチェック機能は必要

2025.09.29

2025年11月号記事

第17回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

マスコミ権力へのチェック機能は必要

第十二条

新・日本国憲法 試案〔第十二条〕

マスコミはその権力を
濫用してはならず、
常に良心と国民に対して、
責任を負う。

『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
幸福の科学出版
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憲法試案〔第十二条〕は、マスコミの権力濫用を戒める条文です。大川総裁も「マスコミが激怒するのは確実」と語る内容ですが、背景には、マスコミが日本において、事実上の「第一権力」になっているという重大な問題があります(*1)。

(*1)《大川隆法政治講演集2009第1巻》『法戦の時は来たれり』(幸福実現党刊)

日本国憲法が想定していなかった「マスコミ権力」

一般的には、近代的国家には「三権分立」が成り立っていると考えられています。「すべての権力を持つ者は、それを濫用しがちである」としたモンテスキューの『法の精神』以来、立法・行政・司法が相互にけん制し合う仕組みが、各国で構築されてきました。

しかし現在、マスコミが報道によって政治家のクビを飛ばしたり、選挙の趨勢に影響を与えて政権を変えたりすることもできる、巨大な権力機構と化しています。

もちろん「言論・出版の自由」が重要であることは大前提ですが、明らかに誤った報道内容で社会をミスリードし、国民が被害を受けたとしても、マスコミがその責任を問われることはほとんどありません。「たいていの場合は"轢き逃げ"になる」というのが実情と言えます(*2)。

これに対する制度的限界も、防波堤もなく、大川総裁は「(マスコミ権力は)日本国憲法が本来は予定していなかったものです。法律用語でいうと『法の欠缺』、つまり憲法に欠けているものがあるのです。『憲法においては、マスコミという第四権力を予想していなかったので、これをチェックする機能がない』」と指摘しています(*3)。

例えば、「公務員を罷免することは、国民固有の権利」と現行憲法では書かれていますが、現実にはマスコミに握られているのは、周知の通りです。マスコミが特定の方向へ一斉に報道した内容は、「LGBT判決」など、司法にも多大な影響を与えています。

報道が民主主義において果たす役割は重要ですが、ここまで権力が増してきたなら、「やはり少しはチェックが必要である」というのが、本条文の主旨です(*2)。

(*2)『新・日本国憲法試案』(幸福の科学出版)
(*3)『幸福の科学興国論』(幸福の科学出版)

良心・国民への責任であり政府批判は自由

重要なのは、この条文は単に、マスコミに規制の網をかけようとしているわけではなく、あくまで「責任ある自由」を促しているということです。

保守と目される政党には、「公正な報道義務」どころか、「報道における外資規制」にまで踏み込んで憲法に書き込む構想を出しているところもあります。しかし後世、政府が都合の悪い報道を統制し"香港化"する口実にはしない、中道の観点が必要でしょう。

新・日本国憲法試案において、マスコミは国家や政府ではなく、あくまで「良心」と「国民」に対する責任を負っているのであり"政府批判は自由である"ことは、強調したいと思います。

その「良心」とは、「神の子、仏の子としての良心」であり、「国民に対する責任」とは「マスコミには報道に対して神聖な責任がある」ことを意味します。

各報道機関にそうした自覚を促しつつ、さらには談合して世論を動かすようなことがないよう、「メディアの複数性」を担保して、健全な競争・相互けん制が行われる環境をつくることも必要でしょう。

そうした意味で同条文も、〔前文〕から示してきた「精神的主柱」を、国家に、そして国民に立ち上げていく不断の努力が前提となります。

大川総裁は「マスコミを啓蒙するために、新しい倫理観を教える必要があります。また、マスコミには枝葉末節のほうへ行く傾向があるので、マクロ的な視点、マクロ的な価値観も教えなければなりません。(中略)それによって民主主義を担保することができ、二十一世紀以降の発展への道が開ける」と語っています(*4)。

その啓蒙の役割を担うのは、宗教であり、正しい宗教政党でもあるという自負と自戒は、私たち幸福実現党にも必要だと考えています。統制国家でも衆愚政でもない、真の「宗教立国」を目指して、啓蒙の使命を果たしてまいります。

(*4)『奇跡の法』(幸福の科学出版)


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