釈量子の宗教立国への道 [第16回] ─ 神仏の子の自由を脅かす「大きな政府」

2025.08.28

2025年10月号記事

第16回

釈量子の宗教立国への道

幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

幸福実現党 党首

釈 量子

(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/

神仏の子の自由を脅かす「大きな政府」

第十一条

新・日本国憲法 試案〔第十一条〕

国家は常に、小さな政府、
安い税金を目指し、
国民の政治参加の自由を
保障しなくてはならない。

『新・日本国憲法 試案』
大川隆法著
幸福の科学出版
幸福の科学出版で購入
Amazonにて購入

憲法試案〔第十一条〕は、第十条で示した「自由」の理念を、政府介入の抑制や私有財産権を護るという観点から展開したものです。「安い税金」と明記した「増税の防波堤」(*1)でもあります。

「小さな政府」は幸福実現党の旗印です。大川総裁は2009年衆院選の政見放送で全国民にこう訴えました。

はっきり申し上げます。みなさまがたの選択は、二つに一つなんです。大きな政府を選ぶか、小さな政府を選ぶか。どっちかです。今、小さな政府を明確に訴えているのは、われわれ幸福実現党だけです

昨今、新旧の野党が「減税」を訴えています。しかしその政策体系を見れば「大企業・富裕層への増税を前提としたもの」や「『財政拡張』と称したバラマキと一緒くたのもの」ばかり。「小さな政府」を思想的背骨としているのは、今もなお幸福実現党だけです。

(*1)大川隆法著『新・日本国憲法試案』(幸福の科学出版)

「小さな政府」が日本人にピンと来にくい理由

現在、我が党は「バラマキは増税のもと 小さな政府、安い税金。」というポスターを全国で掲示し、社会啓蒙運動「小さな政府、安い税金推進本部」を展開しています。

「小さな政府」は多くの日本人にとって、ピンと来にくい概念です。それは「政治とは、国民が困っているところにお金を撒くもの」という考え方がすっかり蔓延したことと深く関係しています。バラマキ政治30年以上のツケで国民の税負担は重くなり、生活が苦しい国民は安定が最優先となります。そのため簡単に「自由」を捨て、「平等」を求めるようになりつつあります。

しかしそこには、大きな代償があることを、私たちは訴え続けています。「大きな政府」はまず、絶対に経済効率が悪いのです。その結果、財政赤字を膨らませます。

顕著な例としてはソ連の計画経済が挙げられます。中央政府が人々の需要を予測できず、トイレットペーパーが不足する反面、機関紙などの新聞は過剰に供給したため、人々はトイレに新聞を持ち込んでいた……というのは笑い話ですが、同質の問題は、今も日本各所で起きています。

大川総裁はこの問題について「生産は、計画化はできるのです。消費は(計画化)できないのです。(中略)だから、『政府に大きな経済を与える』ということは、やはり危険度が高い」(*2)と指摘しています。

そして何より「大きな政府」の最大の弊害は、国民の政府に対する依存を強め、人間の「自助努力の精神」を骨抜きにしてしまうことです。それはこの地上を「魂修行の場」としてお創り下さった「神仏の心」(憲法試案前文)から大きく逸脱し、「神の子、仏の子としての人間の尊厳」(*1)をも奪ってしまいます。

つまり「小さな政府」は、国民の自由裁量を増やした方が国は"繁栄"するし"幸福"になるという国家観です。

(*2)大川隆法著『成功をつかむ発想法』(幸福の科学出版)

「大企業」は大事!

「小さな政府」実現にあたり、大川総裁が強調する考え方が、「国家と国民の間にある『企業』にも、ある程度、『国民の幸福を護る義務』を担ってもらいたい」というものです(*1)。

念頭には経営学者ドラッカーの思想があります。ドラッカーは、「ヒトラーのような全体主義が出てくる時、大企業にパワーがあれば、人々の生活や福祉を守り、一定の政治力や経済力で悪政をけん制する防波堤になる」という考えを持っていました。

「既存政治への絶望がファシズム政治を生む」と警鐘を鳴らしたドラッカーの考えは、今こそ重要です。「企業献金を受けない」「第一次産業担い手の公務員化」を訴える参政党など、人々の大企業否定的な心情に共感する政党は"保守"とされる勢力にもありますが、「大企業や一部は国際企業にも、全体主義から個人を守る機能を果たしてもらう」(*3)というダイナミズムが、大川総裁の「小さな政府」論には含まれているのです。

例えば実際、自動車メーカーのトヨタが病院経営をしていますが、医療現場にトヨタ生産方式を応用して「ムダ」を排除する、民間企業ならではのマネジメントが行われています。薬などを運ぶ搬送ロボットが導入され、看護師の業務負担を軽減し、患者と向き合う時間が増えてきているといいます。社会保障費抑制のヒントにもなるでしょう。

日本では「宗教=全体主義」というイメージもありますが、西洋の社会では常に「宗教=人権・自由の防波堤」と解されてきました。そこには、選択の自由、内心の自由、信教の自由、言論の自由など、多数派から少数派を守り、国家権力から個人を守ってきた歴史があります。我が党が日本初の本格的宗教政党として、神の子の自由を守るという意志を宣言したのが、この憲法試案なのです。

(*3)大川隆法著『幸福実現革命』『法哲学入門』ほか(いずれも幸福の科学出版)


タグ: 幸福実現党  小さな政府  財政赤字  全体主義  新・日本国憲法 試案  釈量子の宗教立国への道  自由  釈量子  2025年10月号記事 

「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
「ザ・リバティWeb」協賛金のご案内

YouTubeチャンネル「未来編集」最新動画



記事ランキング

ランキング一覧はこちら