米下院が中国の脅威に対抗する法案を続々可決 バイオ産業の「脱中国」を促し、パンデミック条約の監視を強化
2024.09.27
《ニュース》
中国の脅威に対抗する重要法案がこのほど、米下院で相次いで可決されました。「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会」の委員長であるジョン・ムーレナー氏(共和党)は、「中国週間(チャイナウィーク)」を提唱し、委員会の議論などに基づいた中国に関連する法案が25本も可決されました。
《詳細》
下院で可決された法案の一部は次の通りです。
(1)バイオセキュア法:中国が生物兵器を開発したり、医療データを悪用したりする懸念が浮上したため、米政府の調達から、中国のバイオテクノロジー企業及び米子会社を排除します。対象は、BGIグループ(華大集団)、MGIテック(華大智造)、コンプリート・ゲノミクス、無錫薬明康徳新薬開発(ウーシー・アプテック)、薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス)の5社。これにより、中国への依存を強めるバイオ・医薬品業界においても、「米中デカップリング」を推進したい考えです。
(2)上院の承認なしにWHOパンデミック準備条約を締結させない法:中国共産党からアメリカを守るべく、世界保健機関(WHO)が主導するパンデミックの予防と対策を定めた合意について、上院に承認する権限を与えます。共和党を中心に立法化を推進した議員は、新型コロナウィルスの対応や中国共産党との"密接な関係"でWHOが非難されたことを受け、同機関の影響力を削ぎたい模様です。
(3)科学技術協定議会通知強化法:米国務省が中国とあらゆる科学技術協定を締結する前に、議会に通知するよう義務付けます。米中両政府は1979年の国交樹立に合わせて「科学技術協定」を締結し、定期的に更新して、40年以上も共同研究などを行ってきました。その基盤の上に、例えば国防総省などの米政府機関が資金提供した研究が、2010年以降、中国の研究者によって1000件以上の米特許取得につながったことが判明(24年8月29日付ロイター通信)。中国の台頭を助長する同協定を見直す動きが、アメリカで急速に高まっており、新法によって監視を強化するのが狙いです。
(4)台湾紛争抑止法:中国が台湾を侵略した場合、アメリカ政府は、中国政府高官が保有する資産を公開、凍結、アクセス遮断するなどの対抗措置をとれるようにします。26日付産経新聞に寄稿した評論家の石平(せき・へい)氏によると、中国の外務次官が2021年に「中国共産党員と親族に対する入国ビザの制限をしないでほしい」とアメリカ側に要望しました。このことから、中国政府幹部の家族を含めて制裁を科せば、共産党内に動揺が走り、習近平政権が揺らぎかねないと分析。本法案により、台湾侵攻の抑止につなげたい考えです。
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