金正恩は韓国侵攻を決意したのか? 現実味を帯びてきた韓国への奇襲作戦【HSU河田成治氏寄稿】(Part 3)
2024.06.16
《本記事のポイント》
- 北朝鮮はどのように韓国侵攻を行う可能性があるのか
- 「戦術核」の使用が視野に入ってきた
- 台湾有事との同時多発を恐れるべき
河田 成治
(かわだ・せいじ)1967年、岐阜県生まれ。防衛大学校を卒業後、航空自衛隊にパイロットとして従事。現在は、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)の未来創造学部で、安全保障や国際政治学を教えている。
前回は北朝鮮が韓国に対する政策を大転換させたことをお話ししてきました。今回はその大転換の意味合いについてお話ししていきます。
米国務省の元高官ロバート・カーリン氏とロスアラモス研究所元所長のジークフリード・ヘッカー博士は共同で、次のように述べています。
「朝鮮半島情勢は、1950年6月以来の危険な状態にある。大げさに聞こえるかもしれないが、1950年の祖父のように、金正恩は戦争に踏み切るという戦略的決断を下したのだと我々は考えている。金正恩がいつ、どのように引き金を引くつもりなのかはわからないが、平壌の『挑発行為』に対するワシントン、ソウル、東京の日常的な警告をはるかに超える危険性がすでにある。言い換えれば、昨年初めから北朝鮮のメディアに登場する戦争準備のテーマは、北朝鮮の典型的な威勢の良さとは思えない」(*1)。
また北朝鮮の動向をウォッチするアメリカのシンクタンク38Northは、2024年の1月~4月の北朝鮮のミサイル発射は、すべて韓国を対象とする戦域攻撃システムだったとして、「この戦域攻撃システムに重点が置かれたことは、韓国を主敵とみなす北朝鮮の『根本的な転換』が進行中であることと一致する」と述べ、現在の北朝鮮のミサイル活動は、「韓国に対する核攻撃を含めた能力の強化と行使、脅迫が重視されている」ということだろうと述べています(*2)。
数年前まではあまり現実味がなかった北朝鮮の韓国侵攻は、リアルな実態を伴ってきたと言えます。
(*1)Robert L. Carlin, Siegfried S. Hecker,"Is Kim Jong Un Preparing for War?,”January 11, 2024
(*2)38NORTH(2024.5.1)
北朝鮮はどのように韓国侵攻を行う可能性があるのか
もし北朝鮮が韓国を攻撃するとしたら、どのようなシナリオが考えられるでしょうか?
私が最も現実味があると考えるのは、奇襲的な韓国侵攻です。北朝鮮は10万人規模の特殊部隊を有しているといわれており、この戦法を最も得意としています。
前回までに述べた通り、昨年10月7日のハマスのイスラエル奇襲攻撃は、北朝鮮の戦術的な指導がかなり入っている可能性があります。
そして北朝鮮が韓国に向けて掘り進んでいる南進トンネルも、まだ韓国によって発見されていないものが多数存在しているとも言われています。
HSU未来創造学部では、仏法真理と神の正義を柱としつつ、今回の世界情勢などの生きた専門知識を授業で学び、「国際政治のあるべき姿」への視点を養っています。詳しくはこちらをご覧ください(未来創造学部ホームページ)。
「自由・民主・信仰」のために活躍する世界の識者への取材や、YouTube番組「未来編集」の配信を通じ、「自由の創設」のための報道を行っていきたいと考えています。
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