NYT紙が「CIAのウクライナ軍支援」を大きく報道 「ウ軍敗戦にバイデン政権が方針転換を図っている」との指摘も

2022.06.29

《ニュース》

米ニューヨーク・タイムズ紙はこのほど、ウクライナでの紛争をめぐり、中央情報局(CIA)が現在も同国内でウクライナ軍を大いに支援していることを、政府高官の言葉を引用する形でスクープしました(インターナショナル版では28日付1、2面に掲載)。

《詳細》

米欧の政府職員によると、ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強める中、ウクライナ軍が抵抗できるかどうかは、「武器や情報、訓練を提供するために急いで駆けつける特殊部隊やスパイ」を含む、アメリカとその同盟国の支援にかかっているとし、同紙はこう述べています。

「現・元政府職員によれば、この仕事(特殊部隊やスパイ)の多くは、ウクライナ国外、例えばドイツ、フランス、イギリスの基地で行われている。しかし、バイデン政権がウクライナに米軍を派遣しないと宣言したにもかかわらず、CIA職員は(現在に至るまで)主に首都キエフで密かに活動を続け、アメリカがウクライナ軍と共有している膨大な情報の大部分について指示を出しているという」

その上で、「2015年から今年初めにかけて、アメリカの特殊部隊と州兵の教官が、ウクライナ西部の都市リヴィウに近いヤヴォリブ戦闘訓練センターで2万7000人以上のウクライナ兵を訓練したと、国防総省職員は述べている」と、ウクライナ軍がアメリカから長年にわたって軍事訓練を受けてきたことに言及。

しかしロシア軍の攻勢により、そのように訓練されたウクライナ兵士たちの大部分を失いつつある現状を、次のように記しました。

「トランプ政権の元高官は、『彼ら(ウクライナ軍)は1日に100人の兵士を失っている。それは我々にとってのベトナム戦争最盛期にほぼ等しく、恐ろしいことです』『そして、彼らは多くの経験豊富な人々を失っているのです』と語った」

「ウクライナ軍と働いたことのある元米政府関係者によると、ウクライナ軍の訓練における最も深刻な問題は、最も戦闘的でよく訓練された部隊を失っていることだという」

もともと、CIAと国防総省がウクライナの「反乱軍」を支援する意図があること、さらには実際にCIAが長年にわたってウクライナ軍を訓練してきたことは、今年1月の時点でも報じられていました。

今回の報道により、CIAが現在も継続的に、ウクライナ国内において作戦を遂行していることが明らかとなった形です。アメリカでは大きな議論を呼び、元連邦下院議員ロン・ポール氏(共和党)は以下のように語っています。

「これは我々が疑っていたものの、あまり分かっていなかったことです。しかし今、我々の疑念の多くが明らかとなりました。これはよくあることで、ご存じのように帝国が行うことです。(他国を)占領し、戦争に関与する」

「(ウクライナをめぐる)アメリカの立場は、軍隊を駐留させず、中立の姿勢をとるというものでした。しかしいま、我々はニューヨーク・タイムズが報じた本物のレポートがあり、CIAがウクライナにいることを認めているのです。私が言えることは、たくさんの偽善がまかり通っているということです。偽善よりひどい、まったくの嘘とごまかしです」

また、ニューヨーク・タイムズ紙は今月9日時点で、政府職員の話として「アメリカはウクライナ軍が戦争においていかなる戦略を持っているのか全体像を知らない」と報じていたにもかかわらず、今回のスクープ記事が、アメリカがウクライナの軍や情報機関に「膨大な量の情報を提供している」と指摘していることから、「手のひら返しではないか」という批判の声も上がっています。

《どう見るか》

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タグ: ニューヨーク・タイムズ  報道  アメリカ  軍事訓練  国防総省  テロ  CIA  戦争  ウクライナ  ロシア 

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