冷戦を平和裏に終結 - Divine Economics サプライサイド経済学の父 ラッファー博士 Part 07

2020.12.24

2021年2月号記事

Divine Economics

サプライサイド経済学の父 ラッファー博士

冷戦を平和裏に終結

Part 07


レーガンには冷戦を終結させたという偉大な功績がある。

ゴルバチョフとの間に築いた人間関係など、背景について具体的に語ってもらった。

(聞き手 長華子)


トランプ大統領の経済顧問

アーサー・B.ラッファー

(プロフィール)
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。

──今回は、レーガン大統領の人柄を示すエピソードも踏まえて思い出を語ってもらえますか。

ラッファー博士(以下、ラ): 最初に、レーガンとマーガレット・サッチャーとの出会いに関する逸話についてお話ししましょう。

初めてサッチャーに出会ったのは、カナダのオタワでG7が開催された時です。G7は、肩書や社交辞令的なことを抜きにし、個人的なつながりを重んじる場で知られています。最後に到着したレーガンは、「ロニー」ですと自己紹介しています。

その場でレーガンは、開催国カナダのピエール・トルドー首相(当時)が、サッチャーに対して非常に失礼な態度を取り始めたのを目の当たりにします。「アーサー、僕は湯気が頭から立ち上るぐらいカンカンになったんだ。G7に行ったのは初めてだったので、最初は何も言わなかった。でもコーヒーブレイクの時間に、サッチャーのところに行き、『トルドーが君にひどいことを言って、扱いが失礼だ。僕はここが初めてでどんなルールなのか分からないので何も言えなかったが、僕が君の扱いに怒っていることは知ってほしい』と伝えにいった。するとサッチャーは、『ロニー、心配いらないわ。私たち女子は、男子が、ただ男子として振る舞っているにすぎないと分かっているのよ』と答えたんだ」

「男子は振る舞いが悪いことなんて知っているわ」と言われたというのは、彼から聞いた面白い話の一つです。

2つ目は1983年のグレナダ侵攻に関するものです。

カリブ海に浮かぶグレナダでは、ソ連派がクーデターを起こした。それを危険視したレーガンは、グレナダにいるアメリカ市民の安全を確保するために、7000人の海兵隊を送り、親ソ政権の成立を阻止しました。

外交政策について詳しくなかったので、この事件は私の興味を掻き立て、レーガンに「どうやって意思決定をしたのですか」と尋ねた。すると「俳優のジョン・ウェインだったらどうしたと思うかね」と、俳優の物真似をしながら答えてくれた。レーガンとのやり取りの中でとても面白かったものの一つです。

 

次ページからのポイント

ゴルバチョフとの歴史的な出会い

勝利を確信した2つの政策

借金という道具を正しく使った

 

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タグ: 2021年2月号記事  冷戦  財政赤字    著名知識人  トランプ大統領  レーガン大統領  G7  アーサー・ラッファー  ゴルバチョフ  サッチャー  サプライサイド経済学 

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