コロナ対策で本当に信頼したのは政府ではなく企業 政府のリーダーシップは危機に立たされる
2020.10.15
《本記事のポイント》
- ミルケン研究所に示された調査では「政府よりも企業を信頼」
- 政府の感染症対策への高まる不満
- 実現すべきは「事業主の良識」に任せた経済活動の実現
アメリカのミルケン研究所と調査会社ハリス・ポールは12日、各国政府の新型コロナウィルス対策に関する調査報告を発表した。同調査は2~10月にかけて、世界27カ国2万9000人に対して実施されたものだ。
調査結果では、「新型コロナ流行中、政府よりも企業を信頼した」と回答した人が全体の半数以上に上った。「調査対象のすべての国で、企業は政府よりも頼りになり信頼できるとみなされ、社会経済的問題を解決するために声を上げる新たな役割を負っている」との見方が示されている。
「ロックダウンは間違いだった」
多くの国で見られたロックダウン(都市封鎖)に代表される一律の感染症対策で、多くの企業が危機に瀕し、世界経済は1929年の世界大恐慌以上の落ち込みを見せた。また失業率も高まり、各国でコロナによる自殺も社会問題化しているほど、事態は深刻化している。
再び感染拡大がみられるヨーロッパ諸国を中心に、政府が実施するロックダウンなどの感染症対策に不満の声が高まっている。スペイン政府が10月1日、ロックダウンに準じた行動制限を実施しようとしたところ、首都のマドリード自治州の保険相は反発。また、国民も抗議デモを実施している。同様のことがイギリスやドイツ、フランスでも見られており、「医療を隠れ蓑にした独裁をやめろ」との批判の声が高まっている。
加えて、オックスフォード大学、ハーバード大学、スタンフォード大学に所属するそれぞれの教授が共同執筆した、ロックダウンに反対する請願書には、6000人以上の科学者や医師たちが署名している。請願書には、アメリカで実施されたロックダウンは「取り返しがつかない」ほどに世界の経済を落ち込まさせ、国民の生活を困窮させたと主張している。
迷走する日本政府の経済対策
日本でも、4月から5月にかけて政府は緊急事態宣言を出し、休業要請、外出自粛により、飲食業や旅行業は壊滅的な被害を受けた。その後も自粛ムードが続いている上に、現在は解除されたが、東京都が8月より独自で行っていた営業時間短縮要請も、飲食業などに大きな負担を課すものだった。行政の対策が国民の生活や仕事に大きなダメージを与えたのである。
その観光業や飲食業を支援するとして、「Go Toキャンペーン」として政府はバラマキを実施した。しかし、場合によっては、利用者が外食に使った以上に儲かる「錬金術」が使える事態が起きたり、宿泊予約サイトに配られた予算が足りず、一時は割引額が減額、または割引されないといった事態にも陥った。
世界の人々は、生活の実情を深く理解している企業の方を信頼しているのではないだろうか。政府主導の政策には、やはり限界がある。望まれるのは、政府の過度な介入ではなく、企業、そして国民の良識を信じ、必要な対策を取れるように、それぞれが考えることだ。
(竹内光風)
【関連書籍】
『トランプ経済革命』
スティーブン・ムーア、アーサー・B・ラッファー共著
藤井幹久 訳 幸福の科学出版
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