香港への国家安全法を批判する欧米の中国批判声明に日本政府は参加拒否 両天秤外交で欧米と亀裂
2020.06.08
写真:YT HUI / Shutterstock.com
中国が導入を正式決定した香港への国家安全法に対して、中国を批判するアメリカやイギリスなどの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日、分かった。共同通信が伝えている。
共同通信によれば、これは複数の関係国当局者が明らかにしたもので、日本は中国と関係改善を目指しているため、欧米諸国に追随しない形で配慮したという。アメリカなど関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。
欧米との亀裂を生んだ八方美人外交
国家安全法は、反逆や扇動、破壊行為などを禁止することを目的としたもの。中国共産党の治安当局が香港に新たな拠点をつくることも可能となるため、民主化運動を実質的に鎮圧できることになる。
同法により、香港の「一国二制度」が崩壊し、国際金融市場という、これまで香港が築いてきた地位も失われる可能性が高い。
5月28日、国家安全法の制定方針が中国の全国人民代表大会(全人代)で採択された同日、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダの4カ国は、同法は香港の自由を脅かし、1984年の香港返還協定に違反するとして、中国の対応を非難する共同声明を発表した。
日本政府が参加を拒否した理由として、中国の習近平国家主席の国賓訪日実現に向けて、中国を過度に刺激するのを回避する狙いがあったとみられている。
6日付産経新聞は、中国のコロナ対応や国家安全法の導入などの強硬姿勢に欧米の批判が高まっていることなどを理由に、習氏の来日は年内見送り、事実上の白紙となったと伝えているが、日本政府の八方美人外交が、欧米諸国からの失望を呼ぶ形となった。
日本は製造業などの日本回帰を目指せ
コロナ禍の中で、製造業などの日本回帰が取り沙汰されたが、収束に向かっているとも見える現在、政府は中国との関係をコロナ以前と同様に戻すことで、コロナ不況からの回復を狙っているとみられる。
しかし国家安全法の導入を見ても分かる通り、中国政府は香港の自由や民主主義を奪う姿勢を崩さない。これは、中国に進出する日本企業は人質に取られるも同然だ。
欧米は、香港を支持し、中国政府を糾弾する姿勢を見せている。日本も経済的な中国依存から脱し、両天秤外交をやめ、本当の正義に基づいた外交を行わなければならない。
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