「米・イラン戦争」を止める方法 ─中東恒久平和への100年プラン - 編集長コラム

2020.01.29

イランによる米軍残留基地への攻撃を受けた後、さらなる報復攻撃をしないと表明したトランプ大統領だが。提供:White House/ZUMA Press/アフロ。

2020年3月号記事

編集長コラム Monthly  Column

「米・イラン戦争」を止める方法

──中東恒久平和への100年プラン

(1)アメリカの「野蛮さ」を修正

アメリカとイランの対決は、いったん収まったように見える。

イランが1月初め、イラクの米軍駐留基地をミサイル攻撃したのに対し、トランプ米大統領は「わが国兵士は全員無事」として次の報復を踏みとどまった。

ただ、トランプ氏はイランの核開発を阻止し、盟友のイスラエルに有利な中東情勢を目指しており、遠からずイランの主要な軍事施設の破壊に動くだろう。

イランも各国に散らばるシーア派武装組織を使い、米関係施設への攻撃を続けると見られる。もしイスラエルも攻撃対象となれば、泥沼の戦争に突入する。

日本は安倍晋三首相が仲裁しようとしてきた。両国の間に立つ「善意の第三者」のように動いているが、実は「当事者」だと言える。日本が自らをどう変え、行動するかによって中東の未来が変わってくるためだ。

イスラム圏とキリスト教国との平和を創り出す今後100年をシミュレーションしてみたい。

2X年、イランの体制崩壊?

202X年、米・イランの紛争はエスカレートし、米国は先の大戦で日本に行ったような「大空襲」を実行。イラン降伏後も、かつて日本で天皇体制を改変したように、イランのイスラム体制を崩壊させた。これでイランは宗教や文化の伝統がいったん断ち切られる。

米国の対イラン戦略は、日米戦争と同じ道筋をたどっていた。経済制裁を強化し、イランに先に手を出させ、米側の犠牲を強調。本格的な戦争に突入したのだった。

占領政策も同様だった。米国は、日本が二度と歯向かわないよう宗教心やサムライ精神を骨抜きにし、軍隊を「廃止」。この「成功体験」をもとに、イランにも同じ「戦後処理」を実行した。

振り返れば、欧米は先の大戦まで約500年間、有色人種への植民地支配を続けた。その「野蛮さ」が十分に反省されず、トランプ氏にも受け継がれている。

他国や他民族の宗教・文化を根こそぎ否定するのは「野蛮さ」が過ぎる。天皇や神道は日本国民の信仰心の柱で、その中身には民族神を超える部分もあった。

現在のイランのイスラム体制にも正当性がある。政治指導者は一種の哲人政治を目指しているとされ、イラン国民は世界で最も信仰心の篤い人々だ。

日本は"経験者"としてアメリカの「野蛮さ」に対し、反省を促せる立場にある。 そのために、今のタイミングでアメリカの占領政策を修正し、宗教心やサムライ精神を取り戻す必要がある。

米国の「成功体験」の修正

2020年代、日本は「植民地憲法」と言われた憲法9条を改正し、自衛隊を「防衛軍」と改めた。他国に運命を委ねない「武士の国」に戻った。

サムライ精神の根底には「地上の命を惜しまない」信仰心がある。憲法改正の国民的論議は、宗教心を取り戻す機会となった。

「日本は武士(ウォリアー)の国だろ」とよく語っていたトランプ氏は、日本の「自立」を歓迎。米国の指導者層の「成功体験」をめぐる記憶が修正され、「野蛮さ」に抑制がかかるようになった。

幸福の科学の大川隆法総裁が日本に生まれた理由は3つあるとされる。欧米による植民地支配の歴史の修正、共産主義の唯物論思想との戦い、イスラム圏の改革で、日本はいま、これらの課題に一度に直面している(*)。

日本は米・イラン問題の「当事者」として自らの変革を迫られている。日本が世界に対する責任をもう一段負うことで、アメリカと中東の未来が変わる。

(*)大川隆法 著『大川隆法の守護霊霊言』。

写真:ロイター/アフロ、Everett Collection/アフロ、提供:IRANIAN SUPREME LEADER'S WEBSITE/AFP/アフロ

繰り返されるアメリカの「野蛮」

先の大戦で日本に対して─

  • 日本人の信仰心を奪う。
  • 都市部への空襲や原爆投下で市民を虐殺。

現代のイランに対して─

  • ハメネイ師の責任を追及する?
  • ソレイマニ司令官殺害。「自衛」と言える?

(2)イスラム圏「近代化」の責任

イスラム圏は石油産業以外に発達しておらず、貧しい国が多い。その理由の一つに、欧米への憎しみが重なり、欧米の繁栄を否定する心理が働いていることがある。

憎しみのもとは十字軍と植民地支配の経験だ。イスラム世界はかつて最先端の文明だった。800年ごろのイスラム帝国(アッバース朝)が最盛期で、哲学や数学、天文学などが発達。

その後、11世紀から約300年にわたり、キリスト教国が聖地エルサレムを奪還するために十字軍戦争を起こした。サラディンらが率いるイスラム軍が勝利し、最終的に撃退。しかし十字軍は略奪や殺戮を重ね、イスラムの人々に憎しみが蓄積した。

1600年代、欧州の国々は世界中を植民地化。1800年代、近代化を果たし、中東・アラブにも侵略の手を伸ばした。

第二次大戦後、中東で石油が出るようになると、イスラム最盛期の誇りを思い出したかのように、「ムハンマド時代への回帰」を願う原理主義が台頭。幕末日本の「尊王攘夷」のような運動が、過激派のテロも含め継続している。

中東の国々の貧しさは、欧米の繁栄への反発、さらに言えば嫉妬がつくり出している。

繁栄への道を拓くには、原理主義化したイスラム体制の改革が要る。

誇りを取り戻すには

いま焦点のイランは全体主義とまでいかないが、権威主義的な専制体制ではある。ガソリン値上げ抗議に始まる昨年11月の反政府デモでは、警察が市民を銃撃し、1500人以上の死者を出したとされる。

イスラムの戒律が政治や経済、生活の隅々に適用されている。「窃盗で手足切断」「不倫で石打ち」「改宗で死刑」は今も行われ、公開処刑まである。

「ムハンマド時代への回帰」ではない形で、イスラムの誇りを取り戻すにはどうすべきか。

3X年、一定の政教分離

米国に対する「敗戦」を経験し、203X年、イランに現イスラム体制の変革を目指す政治改革者が登場。海外亡命していた活動家も続々と帰国を始める。

変革のモデルの一つは、イスラム教国で民主主義を両立するトルコだった。

トルコ建国の父アタチュルクは1920年代、イスラム法を廃止。政治や経済、生活からイスラムの戒律を切り離した。改宗しても死刑にならない。ビジネスに宗教的な制約がなくなり、企業家が出やすくなった。戦後に民主化され、政治参加して国の未来を決められるようになった。

そのトルコ近代化のお手本は日本だった。アタチュルクは「日露戦争でロシアを破った日本のように強い国になる」と考え、日本式の勤勉さを取り入れようとした。

イランにも彼のような政治指導者が現れ、一定の政教分離を実行する中で企業家が次々と生まれた。そこに日本の支援が加わり、繁栄への道が拓かれていった。

イスラムの誇りは今までは、アッラーの下に平等に生きることだったが、これからは「自由」「民主」を取り入れ、神に一歩でも近づき、豊かさを享受する誇りに変わるだろう。

それで初めて、十字軍や植民地支配への憎しみ、嫉妬を乗り越えることができる。

キリスト教国も人権や自由を認めるようになったのは、開宗から約1600年後のこと。イスラム教が生まれてからまだ約1400年にすぎない。イスラム圏の近代化はこれからようやく始まってくる。

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写真:Federico Zovadelli / Shutterstock.com

イスラム世界とキリスト教国の対立の1000年

ムハンマド時代

⇓ 610年のイスラム教開宗後、100年ほどでイスラム帝国へと発展した。

イスラム帝国イスラム文明の最盛期

十字軍時代

アイユーブ朝などでサラディンらが活躍

  • サラディンらが十字軍を撃退したが、イスラム世界には大きな傷が残った。

モンゴル帝国による支配

オスマン帝国

欧米が近代化し、国力で逆転

  • オスマン帝国最盛期のスルタン、スレイマン一世。しかしその後は停滞。欧州各国が台頭し、世界中を植民地化した。

英仏が中東を植民地化

イスラム原理主義が浸透

アメリカによる石油支配

イスラム圏が近代化し誇りを取り戻す?

(3)「現代的仏教」による中東平和

キリスト教とイスラム教の対決は、この30年でも湾岸戦争やアフガン戦争、イラク戦争と続いてきた。この「永久戦争」を終わらせる方法はあるのだろうか。

先にシミュレーションしたように、2030年代にイランなどで政治改革が進み、政府当局がイスラムの解釈権を手放すならば、本格的な宗教改革が可能になる。イスラム教の解釈で、中東の平和のカギとなるのは、「イスラムの唯一神アッラーとはどういう神なのか」という点だろう。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は、「エローヒム」「天なる父」「アッラー」と呼び名は違うが、唯一神としての愛の神、慈悲の神を信じている。複雑なのは、旧約聖書に登場するユダヤの民族神ヤハウェも、唯一神として信仰の対象になっていることだ。

ヤハウェは「(異民族を)必ず滅ぼし尽くさなければならない」(『申命記』)と命じるほど排他性が強い。 3つの宗教が他宗や他民族に非寛容で「戦争好き」なのは、ヤハウェの性格からくる。

仏教の際立った寛容さ

一方、仏教には際立った寛容さがある。この世は魂修行の場として根本仏が創られたもので、すべての存在に意味がある。「他宗教、他民族を滅ぼしていい」という考え方は一切ない。

「仏に少しでも近づけるよう如来や菩薩たちが修行している」という「多神教」的価値観も特徴。政治との相性もいい。

中国仏教が確立した唐の時代、長安はキリスト教、ゾロアスター教、マニ教などの教会も立ち並ぶ宗教都市だった。

日本の奈良時代には聖徳太子が仏教精神の下、民主主義的な政治を行った。平安時代、仏教を中心に神道、道教などが共存する平和な時代が続いた。

他宗教に寛容なので政教分離の必要性がない。 仏教的精神は世界を宗教融和へと導ける。

イスラム圏で宗教改革へ

21世紀後半、イスラム圏にルターのような宗教改革者が登場する。

この頃、幸福の科学の教えがイスラム圏にも浸透。基本的な経典の『太陽の法』『黄金の法』『永遠の法』は、根本仏(至高神)と多様な神々、如来・大天使、菩薩・天使たちの存在と歴史を明らかにし、「現代的仏教」として広がった。

至高神はエローヒム、天なる父、アッラーにあたり、3つの宗教が理解し合う「共通の土俵」を提供。ヤハウェ神からくる非寛容さが消し込まれた。

米国にも幸福の科学の霊界思想が広がり、宗教改革が始まる。天なる父とヤハウェを峻別できるようになり、キリスト教から「野蛮さ」が徐々に取り除かれていった。

「現代的仏教」が宗教融和の未来を開き、22世紀、中東での宗教戦争に終止符が打たれた。

「理解」から中東の平和へ

これを実現するには、 日本での仏教的精神の復活が重要だ。

日本は明治期に「廃仏毀釈」の下、仏教を排斥。聖徳太子以来保ってきた宗教的寛容さを蔑ろにした。戦前、人種差別のない「大東亜共栄圏」をつくろうとしたが、神道だけでは他の宗教・民族を包み込めなかった。

大川総裁は1992年の時点で著書『理想国家日本の条件』でこう指摘していた。

日本に仏教的なる精神を中心とした精神的高揚をつくり、この仏教的精神を中心とした慈悲の世界、共生きの世界を、全世界に広げていく必要があります

宗教間の「理解」をもたらす新たな世界宗教がいま立ち上がり、中東の恒久平和をクリエイトしようとしている。

(綾織次郎)

写真:Muhammad afiq abdul patah / Shutterstock.com

中東の恒久平和をクリエイトするには

  • ユダヤ教─旧約聖書─信仰の対象・エローヒム/ユダヤの民族神 ヤハウェ

  • キリスト教─新約聖書─信仰の対象・天なる父/ユダヤの民族神 ヤハウェ

  • イスラム教─コーラン─信仰の対象・アッラー/ユダヤの民族神 ヤハウェ

ヤハウェ神の排他性と非寛容さが教えに入り込んでいる

  • 「現代的仏教」としての幸福の科学─信仰の対象・根本仏(エル・カンターレ)への信仰

根本仏(至高神)の寛容さによって、3つの宗教の非寛容さが消し込まれる。

根本仏(至高神)と多様な神々の存在と歴史を明らかにした3冊

『太陽の法』

『太陽の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

『黄金の法』

『黄金の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

『永遠の法

『永遠の法』

大川隆法著

幸福の科学出版

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