元SMAPめぐり公取委がジャニーズに注意 移籍ルールはスポーツ界を参考に
2019.07.19
写真: Wikipedia より
《本記事のポイント》
- ジャニーズ事務所が"移籍への制裁"で元SMAPの出演を妨害!?
- タレント事務所の体質にメスが入り始めている
- 移籍ルールはプロ野球、Jリーグなどが参考になる!?
元SMAPのメンバー3人を出演させないようテレビ局に圧力をかけていた疑いがあるとして、公正取引委員会がこのほど、ジャニーズ事務所に注意をした。各紙が報じた。
事の経緯を簡単に振り返る。2016年、SMAPの一部メンバーがジャニーズ事務所から移籍しようとした。しかしジャニーズ事務所は、移籍先の事務所に圧力をかけて阻止。メンバーにテレビの生放送で謝罪会見をさせた。
そのいざこざを引きずり同年、SMAPは解散。そして稲垣吾郎さんと草なぎ剛さん、香取慎吾さんは当初の意向通り、事務所を移籍した(「なぎ」は弓へんに旧字体の前に刀)。しかし、まるで"移籍への制裁"であるかのように、民放テレビ局のレギュラー番組が次々と打ち切りになってしまう。
その背景として、ジャニーズ事務所がテレビ局に対して、3人を出演させれば所属タレントの出演が難しくなると感じさせるような言動で圧力をかけた疑いがあるという。
ジャニーズ事務所は「テレビ局に圧力などをかけた事実はない」というコメントを発表した。しかし、日本テレビ系「スッキリ」MCを務める加藤浩次さんが「周知なんですよ。大手の事務所を独立したタレントは、何年かテレビに出れなくなるっていうのは」とコメントするなど、"移籍への制裁"は業界の常識だ。
タレント事務所の体質にメス
そんな長年のカルチャーにいよいよメスを入れるため、公正取引委員会は近年、タレント事務所への調査・監視を強化していた。
インターネットなどを中心に、テレビではあまり報じられなかったタレント事務所の体質に関する報道が増え、世間の風当たりも次第に強くなってきたためだ。
芸能界は今、大きな転換期を迎えている。
近年のタレントと事務所のトラブル(2017年5月号本誌記事より)
移籍ルールはプロ野球、Jリーグなどが参考になる!?
しかし、「単に行政が監視を強めるだけ」という形での改革は、最善ではない。やはり芸能界の内部で自浄作用を働かせ、カルチャー転換をするべきだろう。
タレントが、よりよい待遇や、より自分に合った事務所に移籍できなければ、事務所同士が労働環境を改善し合う競争原理が働かない。
参考になるのは、スポーツの世界だ。プロ野球では、選手が一定期間以上、球団で活躍した場合、球団移籍を交渉できる「フリーエージェント(FA)権」を得られる。
サッカーのJリーグにおいては、選手はチームとの契約満了の6カ月前から、自由に他チームと移籍交渉ができる。
芸能界でも同様に、事務所移籍のための一定のルールをつくるべきだ。
(馬場光太郎)
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